相模原市緑区の橋本駅周辺整備推進事業における都市計画の決定と変更に関する素案についての住民説明会が8月21、22日の2日間、緑区役所で開かれ、南口の交通広場や都市計画道路を変更する計画について説明があった。地権者などを対象とした近隣住民向け説明会は別途開催する予定で、2023年3月を目標に都市計画決定を目指す。駅周辺地区の基盤整備は27年に完成する見込みのリニア駅建設に合わせて進めていく。
新交通広場は、移設を検討している京王駅と、リニア駅の間に整備する予定で、在来線駅やリニア駅との乗り換え利便性を確保する。現在(約6500平方㍍)の2倍以上となる約1万3300平方㍍に拡大し、機能を強める。路線バス乗降場を8台から10台程度、タクシー乗降場を1台から3台程度に増やすほか、新たに高速バスの乗降場2台程度を設ける。
都市計画道路の変更では、橋本駅南口の新交通広場と国道16号を結ぶ橋本駅南通り線などで変更する。同線は延長約390㍍、総幅員49㍍で、片側2車線の4車線道路。賑わい創出のためのオープンスペースを設けるため、歩道幅員を13㍍と広めに設定している。
同じく、橋本東通り線にもオープンスペース(歩道幅員18㍍、15㍍)を設ける。横浜線アンダー付近から橋本駅南口前までだったが、新交通広場との接続に変更される。
現交通広場から国道16号に達する大山氷川線を橋本駅氷川線に名称を変更。リニア駅から相原高校前通を通り、橋本二丁目交差点を経て国道16号に抜けるルートにする。交通広場は廃止となる。
このほか、国道16号橋本変電所前交差点から橋本相原線の工業団地入口交差点までの大西線は、大西大通り線として線形や幅員などを変更する。国道16号や橋本相原線との交差部で右折車線を確保するため、広めの幅員を設定。歩行者の安全確保と交通負荷を軽減するため、立体的な歩行者導線を設ける。
土地区画整理事業は駅南側の県立相原高校跡地を中心とした約13・7ヘクタールが対象。「計画的な土地利用転換を進め、交流の核にふさわしい市街地形成を図ること」が目的で、道路等の公共施設の整備と利用価値の高い土地の創出などを期待している。「豊富な実績、経験のある」との理由で独立行政法人都市再生機構が施行。区域内は県、JR東海、東京電力、相模原市が地権者となっている。
説明会に参加した市民らからは「既存の道路を活用してほしい」などとの意見があった。市は「橋本駅に向かう周辺の道路は限られ、自家用車の送迎や路上駐車が多く渋滞が発生している」と説明。渋滞を回避するために、住宅街などの狭い道路に進入する車両が増加している。
市の都市整備の基本方針を定めた「都市計画マスタープラン」では、同地区をJR相模原駅周辺とともに広域交流拠点に位置付けられ、首都圏南西部の中心的な地域として周辺都市からの求心性の向上を狙っている。駅の南北間、隣接する商業地、公共施設との回遊性向上などを実現することで、産業の活力と賑わいにあふれる都市づくりを進める。リニア中央新幹線駅の完成を見据えた橋本駅南口地区の都市基盤整備を進めるため、土地区画整備事業の決定、都市計画道路と地区計画の変更などを行いたい考え。