ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区、DeNA)は10月26日、サッカーJ3リーグの「SC相模原」を運営するスポーツクラブ相模原(相模原市中央区相模原5、小西展臣社長)の発行済み株式の74・2%を追加取得することを決め、連結子会社とする予定。DeNAが保有するSC相模原株は19%から93・2%となる。DeNAはJリーグへ本格参入することになる。
この件について、11月4日に記者説明会を開き、詳細な内容や今後などを説明した。DeNA執行役員 スポーツ事業本部長で、スポーツクラブ相模原取締役を務める對馬誠英氏は「DeNAが、スポーツクラブ相模原の発行済株式の74.2%を追加取得すること(合計保有株式は93.2%)」と報告。スポーツクラブ相模原をDeNA連結子会社化すること」が11月2日、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のチェアマンの承認を受け、正式に決定した。
株式取得日は2023年2月1日を見込む。連結子会社化に伴い、現DeNAスポーツ事業本部戦略部長でSC相模原取締役COOとスポーツダイレクターを兼任する西谷義久氏が社長、現スポーツクラブ相模原の小西展臣社長が取締役に就任する予定。
SC相模原の創設者で現会長の望月重良氏は取締役を退任するが、同社の創業者兼フェローとして、経営陣へのアドバイスなどを行い引き続きクラブを支援する。クラブ名は連結子会社化後も「SC相模原」を継続して使用する。
同クラブは、08年に元Jリーガーの望月氏が県社会人リーグ3部のクラブとして創設し、その年に優勝。毎年、所属カテゴリーでの優勝を続けた。13年にはアマチュアの全国リーグである日本フットボールリーグ(JFL)に昇格。創設から6年後となる14年にJリーグ参入を果たしたプロサッカークラブ。現在、相模原市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町をホームタウンとして活動している。
DeNAは、21年4月からSC相模原への協賛を開始し、併せて株式19・0%を取得することで経営にも参画。望月氏と協議を重ね、今後クラブがJ2、J1へと昇格しながら地域貢献を拡大していくためには「DeNAの経営関与をより高めていく必要がある」との合意に至ったという。
望月氏は「経営に携わることはなくなるが、これまで私が15年培ってきた地域とのつながりやスポンサーに関することのアドバイスなど、クラブの成長と発展にサポートしていきたい」と、今後の自身の関わり方を説明。「だれかと組んで託す、というタイミングはいつか必ずあると思っていた。さまざまな話をもらったが、2021年から一緒に運営をしてきたなかで、クラブ運営を引き継いでもらう会社としてふさわしいと確信できた。是非、これまで以上のクラブの発展、成長をリードしていってもらいたい」と心境を語った。
對馬氏は、今回の子会社化の理由として「SC相模原、ならびに相模原を中心としたエリアに非常に魅力を感じている」とするDeNAが県内で先行して手がけている野球(横浜DeNAベイスターズ)、バスケットボール(川崎ブレイブサンダース)などと連携させ、経営資源の相互活用、各競技の成長拡大などを目指していく。現状、スポーツ事業は(DeNAの)売り上げ収益の11.2%を占めている。スポーツは「広告宣伝費ではなく、収益を上げていける事業で、非常に魅力的な市場と捉えている」と説明する。
【2022年11月1日号に掲載されたものに新たな情報を加筆したものです】