44回目の開催となった首都圏最大級の工業技術・製品見本市「テクニカルショウヨコハマ2023」が1~3日の3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれた。最先端の技術・製品が一堂に会し、来場者は情報の発信、収集、交流で販路拡大、ビジネスチャンスの創出、地域産業の振興を図っていた。ウェブ展示は28日まで継続している。【2023年2月10日号掲載】
同見本市は、県と横浜市、神奈川産業振興センター(KIP)横浜市工業会連合会が主催。県内企業を中心に、山形、新潟、長野、大阪、鹿児島など23都府県各地から759社・団体、573小間が出展。このうち相模原市や大和市の企業は約10社あったが、出展企業から「コロナ禍でストップしていた生産活動が再開したが、発注先の倒産で新たな発注先を探している企業も増えている。円安傾向で外国から国内に回帰している需要もあるので、取り込みを狙いたい」と意気込んでいた。
出展ゾーンは、これまでの「加工技術」「機器・装置・製品/ロボット」「研究開発」「ビジネス支援」など6つのエリアに編成。「ニューワーキング・ライフスタイル/カーボンニュートラル」「DX(デジタル化)・AI(人工知能)・IoT」といった近年の新動向を加えたゾーンも設置され、出展各社・団体が自社技術・製品を売り込んだ。
半導体製造装置や特殊大型車両向けのケーブルや基板、ユニットなどを製作する平栗(緑区久保沢2)は、2回目の出展。東京ビッグサイト(東京都江東区)の産業交流展に7~8年出展していたが、地元に馴染みがある展示会で身近な顧客を開拓しようと申し込んだ。
平栗文夫社長は「情報収集もできプラスになっている」と話す。来場者らに「少数ロットでも対応できる。要求に応えられる小回りの利く商品づくりが特徴」とアピールした。
Fデザイン(緑区西橋本5)は、「健康・安心・生きがい」を多面的に支援するロボットAIシステムの研究開発を行っているという神奈川工科大学人間機械共生研究室と共同で出展した。介護現場や医療機関でのロボット利用を想定し、同社のロボットベースが配膳した食事を、同大学が研究している食事介助ロボット「マーニ」が支援する仕組みを模範展示した。
同社のロボットベースは使用するシーンに応じてカスタマイズが可能で、配膳のほか、見守りや案内など多様な活用が可能。
食事介助ロボットは、カメラで皿の上の食べ物を判断し、アームの先に取り付けたフォークで取って要介助者(手や腕の不自由な人)の口元まで運ぶもの。カメラで咀しゃくができているか、食べられる大きさかなどを判断する。大きいものはナイフなどでカットしてから食べさせるような仕組みを目指す。
今年度の神奈川工業技術大賞で「大賞」を受賞したユニテックス(相模原事業所=相模原市南区豊町、相模大野7)は、USB LTO(磁気テープの1種)データ保存システム「LT80H USB LTO8」のデモンストレーション機器を展示した。CD、DVD、ブルーレイディスクなどの光学ディスクを自動で読み取り、大容量のデータを保存できるLTOに簡単に記録できる。
同社営業部の古屋敷俊浩マネージャーによると、同製品は書類や研究・開発資料の電子データ化に勧めており、受賞を機に「取引がなかった企業などからの新規問い合わせがくるようになった」と話した。
同市トライアル発注認定製品の共同ブースでは、マーク電子(緑区橋本台1)がスマート型点滴管理ツール「ドクターマーク」、ネットフィールド(秦野市戸川)は「オガポット」をそれぞれ出展した。同社の田中純司取締役は認定後「自治会や個人からの問い合わせが増えている」と手応えを語り、展示会で「企業の災害対策などに提案していきたい」と意気込む。
相模原市内の企業では東邦電子(相模原市緑区西橋本2)が、無線で各種センサーからのデータを見える化し、温度などを自動制御するBEMS(ビルエネルギー管理システム)関連製品を紹介。相模原事業所を中央区南橋本に置くペンニットーは、フッ素樹脂シューブを展示した。