小田急電鉄は8日、相模原市南区東林間1丁目に置く総合車両所を伊勢原市に移転する方向性を明らかにした。移転先は小田原線の伊勢原駅と鶴巻温泉駅の間に建設を検討する新駅の近くで、移転時期は2033年度をめどとしている。【2023年3月10日号掲載】
同社によると、同日に伊勢原市が進める都市計画道路田中笠窪線整備事業と、「新たな総合車両所の建設計画」の実現に向けて相互に連携する協定を締結。両者は「近未来のスマートモビリティ社会へ向け、新たな産業都市軸の形成やスマート新駅の検討など、持続可能なまちづくりの実現に取り組んでいく」とする。
大野総合車両所(3万3382平方㍍)は、車両の検査・修理を担う鉄道事業の基幹施設で、同社最大の施設でもある。開設から60年が経過し、老朽化のために更新が必要となっている。
同社は鉄道運行の安全・安定性確保を図るとともに、環境への配慮や持続可能な運営体制を見据えた次世代型メンテナンスシステムや最新設備の導入を検討。同市を移転先の候補地とし、新たな総合車両所を建設する検討を進めている。
候補地は国道246号と小田急小田原線の間で、鈴川工業団地の近く。市は北側に、同団地から市道81号線まで東西に、延長約960㍍の田中笠窪線の整備を目指す。小田急電鉄は「沿線で災害のリスクが比較的少ない、まとまった土地を探していた」とする。
同総合車両所は1962年10月に「大野工場」として開設し、09年12月に海老名検車区大野出張所が組織統合されて現在の体制となった。施設の親子見学会や施設見学をコースの一部に取り入れたツアーなどを行うなど、鉄道ファンや地域住民との交流に努めてきた。
同車両基地近に住む男性30代は「相模大野駅から至近の好立地。橋本(駅南口)や相模原(相模総合補給廠一部返還地)のように、地域振興に役立つような開発に利用してほしい」と話した。