「恐ろしいほど辛い」。相模原市緑区内の老舗せんべい店「津久井せんべい本舗」(太井)と農業生産者「相模湖うみくんふぁーむ」(若柳)がコラボレーションし、市内で生産される「世界一辛い」(ギネス世界記録3月現在)とされる唐辛子を使った「恐辛せんべい」を開発した。それぞれが持つ製品開発のノウハウや広報・販路などの情報を相互に活用できるとし、「津久井のものを使ったせんべいで、地域経済を盛り上げたい」と意気込む。【2023年4月4日号掲載】
同店専務の藤本武徳さんが、相模湖近くの農業生産者・竹内僚さんと出会ったのは2年半ほど前。共通の知人が開いた交流会で「おもしろい人がいるから」と紹介を受けたのが、世界一辛いと言われている「キャロライナ・リーパー(リーパー)」のほか、ブートジョロキアなど世界トップクラスの唐辛子を生産している竹内さんだった。
藤本さんは「ストレスが多いとき、辛い物を食べたくなる人がいる。若者などにもせんべいの裾野を広げ、津久井の名前も広めたい」と語る。
同店は旧津久井4町の特産品を使った「津久井のせんべい」作りを続けており、これまでに藤野のゆず、佐野川の緑茶、津久井在来大豆の味噌などを使ってきた。激辛製品としては「辛丸」を販売しているが、コロナ禍で激辛ブームが再来していることを受け、昨年秋ごろに「さらに辛い製品」として開発に乗り出した。
今回発売したせんべいは、同店の甘みのあるしょう油せんべいをベースに、辛丸に使う七味唐辛子に竹内さんが生産するリーパーの粉を配合して片面にまぶした。1枚当たりの七味唐辛子は3~4㌘程度で、市販のびん入り製品の5分の1に相当する量が使われている。
開発でもっとも苦労した点はリーパーの配合率。試作第1号は、竹内さんがリーパーを使って製造する七味唐辛子をそのまままぶしたものだった。竹内さんは、試食を振り返り「人が食べるものではなかった」と苦笑する。試作を3~4回繰り返して、「激辛だが食べられなくはない辛さ」を導き出すことに成功した。配合率は「企業秘密」。
パッケージは、相模湖や津久井湖、宮ケ瀬湖などの湖とその周辺の山々を描き、「湖に生息する仮想の首長竜でさえも火を噴く辛さ」とのイメージ。デザインはNPO「図的表現活用研究所」に勤める竹内さんの兄が手掛けた。
激辛でも安全に食べられるようにと、子供や刺激物に弱い大人(心臓疾患などがある人)の食用を断る。製品表示にも「過剰摂取、取り扱いによる体調不良等について製造者、販売者は一切責任を負いかねます」と説明している。
藤本さんと竹内さんは「売れ行きをみて、要望があればさらに辛いものや、別の素材を使ったせんべいを開発したい」と話した。
同店の各店舗(本店、ミウイ橋本店、ダイエー津久井店)、アンテナショップのサガミックス(南区ボーノ相模大野内)、さがみ湖プレジャーフォレスト内などで販売している。地域内のコンビニ一部店舗でも扱う予定。参考価格は220円(本店など)。
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