津久井地区4商工会、魅力づくり考えるシンポ/バレエの聖地や国際保養地など意見


津久井の魅力を熱弁する黒岩知事

津久井の魅力を熱弁する黒岩知事



津久井・城山・相模湖・藤野の4商工会からなる津久井地区商工会連絡協議会は、4月28日に相模原市津久井中央公民館(緑区中野)で、リニア中央新幹線の関東車両基地が建設されることが決まったことで大きく変化すると期待される「津久井地域」を考えるシンポジウムを開いた。国際保養地や咢堂桜の名所といった案に加え、相模湖をバレエの聖地にしようという提言もあり、会場は盛り上がりをみせた。

同協議会会長の関戸昌邦氏(津久井商工会会長)は、主催者を代表したあいさつで「水源地で発展した所は世界的にない。社会保障を担える税収を確保するためには、インバウンドを迎え入れ、発展し続けるまちにしなければならない」と参加者や来賓らに呼び掛けた。

甘利明衆院議員(神奈川20区=同市南区、座間市)や同市の本村賢太郎市長、寺田弘子市議会議長らのほか、愛甲商工会、愛川町、清川村の議会関係者も来賓として出席した。本村市長は「国県市で連携し、津久井地域の声を形にしたい」と祝辞を述べた。

黒岩祐治知事は基調講演で、県の取り組みマグカル(マグネット・カルチャーの略)の「マグネット力(磁力)」を「人を惹きつける力」と説明。「地域を再生するとき、その地域の人々が自分の頭で考えることがそもそもだめ。外の人の目線になって、行きたい、住みたいと思わせることが大事」と口調を強める。

マグネット力がもっともある地域は「藤野」だとするが、神奈川県の問題点を「危機感がない」と指摘する。「神奈川はどこに行っても何となくお客さんが来ているから、大きく減っていても危機感を感じない。危機を感じていないのが一番の危機だ」とした。

黒岩知事は同日にJR東海の金子慎会長、丹羽俊介社長と面会したことを報告。27年開業の是非について問うと、「絶対無理」と回答があったと明かした。ロボットやドローンなど地域の産業力を生かし、「(仮に)リニアが走っていなくても、行きたくなる魅力をつくればいい」と訴えた。

設置を

半野外劇場の設置を熱望する吉野氏(アトリエヨシノ社長)

半野外劇場の設置を熱望する吉野氏(アトリエヨシノ社長)



パネルディスカッションでは、JA神奈川県厚生連代表理事理事長の高野靖悟氏、アトリエヨシノ(バレエ衣装制作・レンタル)社長の吉野勝恵氏、次世代まちづくり構想委員会委員長の網野通氏をパネリストとして迎えた。黒岩知事がコーディネーターを務め、健康・医療、芸術・文化、先端技術など、各分野の視点から地域の魅力や資源の活用案について意見を交換した。

高野氏は「豊かな自然の中で未病を改善し、健康寿命を延ばす。日本の国際保養地を津久井に作りたい」と提案。網野氏は、尾崎行雄(咢堂)の出身が旧津久井であることから、「津久井ポトマック河畔構想」を提言した。広葉樹である桜などを植栽することで、花粉症の抑制を図るほか、生った実を野生鳥獣が食べることで農作物の食害の軽減を狙う。

吉野氏は「座席が回転する半野外型の劇場を建設してほしい。経済的にも、地域活性化にも確実につながる」とした上で、「プロを目指す舞台芸術家が活躍できる環境を作り、相模原を芸術文化の世界への発信地としたい」と訴えた。黒岩知事が「神奈川(鎌倉市)は日本バレエの発祥の地。その聖地を相模湖に作るのはいかがか」と提案すると、会場は拍手喝采だった。

鳥屋地区に関東車両基地が建設される計画が持ち上がり、津久井地域では回送車両の旅客利用の実現を目指して活動している。旧津久井郡の魅力を発信することで、市域全体の観光振興や地域経済の活性化にも繋げたい考え。

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