東京都と神奈川・千葉・埼玉の3県、5政令指定都市の首長が、大都市共通の課題について意見などを交換する九都県市首脳会議が4月26日にオンラインで開かれ、相模原市の本村賢太郎市長は市役所(中央区中央)の特別会議室から出席した。地方分権をはじめ、環境・経済・住民生活など、各分野の課題解決に向けた国への要望事項が各首長から提案された。【2023年5月10日号掲載】
2期目初の出席となった本村市長は、本紙の取材に「九都県市の各首長と議論できるのはいい刺激になるので、今後に向けて検討を深めていきたい」と答えた。今後の広域連携について、県内市町村や山梨県など隣接・近隣の自治体との連携を図りたい考えで、特に町田市や八王子市をはじめとする東京都多摩地域に積極的な姿勢をみせた。
□マスクは個人判断
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが今月8日、5類に移行するのを前に、移行後も感染対策の継続を求める共同メッセージを採択した。マスク着用について個人の判断を尊重した上で、重症化リスクのある人との接触や混雑した場所への訪問など「場面に応じた着脱」を呼び掛けている。
本村市長は新規感染者について「下げ止まりの後、緩やかな増加傾向となっている」と報告。感染症相談センターでは24時間体制で発熱時の受診相談や陽性者の急変時の相談に対応する方針も示した。
市独自の取り組みとして高齢者を対象とした集団接種も継続するとし、「迅速かつ適切な対応を講じる」と話した。5類移行後、間もない開催となるが、13・14日に市民若葉まつりを開くと報告した。
□地方の消費者行政
相模原市は「デジタル化の進展を背景とした新たな商品・サービスの提供などで、消費者の意識や行動は大きく変化している」とし、地方消費者行政の充実・強化を要望するよう提案した。
同市によると、全国の消費生活者センターなどに寄せられる相談件数は、年間約90万件でほぼ横ばい。消費生活相談員による事業者などへの交渉などで、未然防止や返金となった救済額は約250億円に上るとされる。
本村市長は「高齢化の進行や成年年齢の引下げにより、消費者被害のさらなる増加が懸念されるなど、近年、国内の消費者を取り巻く環境は多様化・複雑化している」と指摘する。
消費生活相談員数は3313人(22年度)だが、83%を非常勤職員が占める。国家資格合格者は毎年度800人前後で増加傾向にある一方、3300人台で推移するだけで人材不足は改善していない。要因分析と処遇改善に取り組み必要を訴えた。
□宣伝車に規制検討
東京都の小池百合子知事からは、トラックの荷台などに屋外広告物を掲出した広告宣伝車が「派手な色使い過度な発光を伴って周回走行している」とし、「都市の良好な景観を損なうだけでなく、周囲の運転手を幻惑することで交通事故を引き起こす」と懸念を示す。課題について整理し、規制のあり方について検討するため検討会の設置を提案した。
本村市長は、広告宣伝車について「本市ではデザインなどの規制誘導を行っていないため、景観を損なう恐れや、子供たちへの影響が懸念される」とした。検討会の設置を「良好な景観の形成や維持が期待できる」とし、都の提案に賛同した。
相模原市では、路線バスをラッピングする車体利用広告について「公共性が高い」として、ガイドラインを策定して自主審査を求めた上で認めているという。