全国20政令指定都市の市長らが出席する会合「指定都市市長会議」が5月15日、東京都内の都市センターホテルで開かれ、新型コロナウイルス関連や道路空間を活用した公共交通機能など4つの提言・要請を採択した。政令市の権限を強化する「特別自治市(特別市)」構想の早期法制化に向けて、経済界などへも積極的に働きかける方針を固めた。【2023年6月1日号掲載】
会議に先立って開かれた「多様な大都市制度実現プロジェクト」では、第33次地方制度調査会や経済団体などを通じた意見表明の機会創出、市長らと学識経験者らの議論を通じた情報発信も展開する方針が報告された。次回会議と同日の7月3日に第5回、11月20日に第6回のプロジェクト会議を開いて、今年度の提言文を取りまとめる計画。11〜12月に国や関係団体、関係議員らへの要請活動を展開したい考え。
会議では①新型コロナワクチン接種の円滑な実施に向けた要請②既存の道路空間を活用した新たな公共交通機能の導入に関する要請③障害福祉サービスに係る十分な財政措置に関する提言④地域経済の成長発展に資する土地利用に関する提言―の4件を採択した。今後は、それぞれ関係する国の省庁に要請活動を実施する。
道路空間を活用した新たな公共交通機能では、道路上にバス専用車線(バスレーン)や次世代型路面電車(LRT)の導入が進むよう、道路上に新たな交通機関を敷設する場合の交付金による支援を継続、拡充することを求める。交通管理者・道路管理者を始めとした関係者間で認識の共有化を図るため、協議の場の設置やこれに係る指針の作成といった仕組みづくりも要望する。
地域経済の成長発展に資する土地利用については、新たな研究開発施設を既存の工場の近くに建設する場合も、市街化調整区域での開発許可の手続きを進めやすくすることを求める。
地域未来投資促進法では、税制による支援措置のほか、農地転用許可や市街化調整区域の開発許可の手続きに関する配慮など規制に関する特例措置が設けられているが、市街化調整区域の開発許可の手続きに関する配慮を受けることができる対象の施設は限られている。地域経済を牽引する事業であっても、対象施設と密接な関係のある既存施設に試験研究施設がない場合は配慮の対象外となっている。
試作品による検証や生産技術の確立・向上を継続的に実施するための試験研究施設や工場を既存の工場近傍に一体的に立地することができず、同会では「地域の成長発展を阻害する要因となっている」と指摘する。