米国3Mの日本法人スリーエムジャパンは、相模原市中央区南橋本に置く「カスタマーテクニカルセンター」(CTC)をリニューアルし、1日から顧客の視察を受け入れている。1997年の設立から約四半世紀がたったこともあり、社会の変革や顧客のニーズに柔軟に対応できるよう、展示物を一部デジタル化するなどして提案機能を強化した。【2023年6月12日号掲載、※関連記事は本紙紙面をお買い求めください】
同社は、文具用品「ポスト・イット」や両面テープなどに代表される接着・接合技術に強みを持ち、製造業向けなどで51技術、6万種以上の製品を手掛ける。接着・接合技術、フィルター技術、不織布技術、高精細表面技術、ナノ技術などそのベースとなる技術基盤の一部を展示やデータ分析を通じて、包括的な製品・技術の理解を深めてもらうとともに、顧客の技術的な課題解決や新製品開発につながるソリューションを提案している。
CTCは同社最大の研究開発拠点である相模原事業所と同じ敷地内にあるため、技術者が案内人となって顧客と接点を持ち課題解決につながる製品を提案する場にもなっている。花島香織CTCセンター長は「10月まで予約が入っている。国内の製造業界では幅広く来てもらえているので、特定の業界に限らずニーズに合わせて提案したい」と話す。
同社広報は「1つの事業部や1人の営業担当者では限られた情報しか提供できない。技術情報を網羅した施設があることで3Mができることを知ってもらうことができ、カスタマーからも発想を得られる」と説明する。
気候変動、人口動態の変化、デジタル革命など世界規模の課題に対し、「3Mフォワード」を掲げ、技術を通じて環境や社会課題の解決に向けて取り組む。「デジタリゼーション(電子化)」「サステナビリティ(持続可能性)」「オートメーション(自動化)」の3つの分野を中心に、同社技術を体感できるプログラムを用意している。
5月31日に報道関係者向けに行った内覧会でも、5G(第5世代移動通信システム)向け透明伝導性フィルムや自動車のデジタル化を支えるフィルムなどを紹介。車両の軽量化と断熱に活用できる添加剤、来や石など天然材の質感を再現したラッピングフィルムなどは製品の実物を手に取らせることで、見学者が重さ、肌触り、施工性などを実感できる工夫が採られている。