日野自動車子会社で幹線輸送サービスなどを手がける相模原市南区当麻に拠点「相模原センター」を置くネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ)は8月21日、将来の物流結節点「自動クロスドック」の運用に向け、7月から自動荷役技術の開発や課題抽出を狙った実運行を始めたと発表した。一定条件下で有人より精度の高い作業を実現できると期待。人手不足や働き方改革で生じる諸問題を背景に、自動化で省人化や環境負荷低減につなげたい考えだ。【2023年9月10日号】
NLJは2021年度から経済産業省の「物流MaaSの実現に向けた研究開発・実証事業」の実施団体に選出されている。実証で得た知見を生かし、相模原センターに入庫するトラックからの荷降ろしに自動運転フォークリフトと自律走行搬送ロボットを使用する。
入庫したトラックからの荷降ろしと搬送、出場するトラックへの搬送や積み込みを自動化する。荷積みや荷降ろしの時間短縮、同一荷室内における異種混載パレットの荷役のほか、車両情報や荷物情報と連携したシステムの構築にも取り組む。
自動荷役技術は、自動運転フォークリフト(豊田自動織機製)に自律走行搬送ロボット(AMR、アイシン製)を組み合わせたもの。フォークリフトは、自律走行用とパレット検知用の各センサーのほか、走行路の安全対策として障害物検知センサーも搭載。フォークリフトとAMRは異常時に停止した場合でも業務を継続できるよう、手動でも操作できる。
フォークリフトでトラックからトラックの積み付けパターンでの荷降ろしを行う。AMRは保管場所から荷受け場所まで架台を運び、架台ごとパレットを保管場所に搬送する。自律走行センサーに加え、カメラでQRコード(2次元バーコード)を読み取ることで走行する。架台と保管場所に同一のQRコードを割り振ることで保管位置の精度を高める。
対応する荷姿は、取扱量の多い3種類のパレットに対応し、荷物の積み下ろしが可能。AMRは重量物・軽量物の差別化が難しく、重量物寄りの1㌧可搬の機種を採用している。
同社は2022年11月から想定荷役としてフルトレーラーや高床車などさまざまな車種で検証したり、複数台の自動運転フォークリフトを運用して両側荷役を実施したりして、社会実装に向けて課題の洗い出しを行ってきた。荷置き時の回転ずれを1度以内、隣接するパレットの隙間を5㍉以内と目標設定したが、いずれも有人精度を上回るなど期待を上回る成果を得ている。
今後は物流業界を取り巻く各課題の解決に向けて、高効率な輸送スキームをさまざまな荷主や物流事業者との推進を目指す。