県、脱炭素研究開発を支援/相模原市内2社参加の計画も対象


県が2050年脱炭素社会の実現に向けて進める「カーボンニュートラル研究開発プロジェクト推進事業」では、大企業と中小企業等の連携による開発プロジェクトを募集し、相模原市内企業が関わるものなど3件を採択した。研究開発に係る費用の一部を支援するほか、関係機関と連携して技術的課題の解決に関する相談や、知的財産に関する助言等の支援を行う。応募数は8件だった。【2023年9月20日号掲載】

 

□乾燥減量装置を改良

幹事社のマクニカ(横浜市港北区)と、廃棄物処理機・環境関連機器の開発・製造などを手がけるダイソー(相模原市緑区大島)のプロジェクトチームは廃棄物の乾燥減量装置「メルトキング」の改良に関わる研究・開発を10月から始める。IoT化とAI(人工知能)に実装を進める方針。

具体的には、AIを搭載したコンピューターで処理したデータをクラウド上で遠隔監視することで、日々のごみ処理量やCO2削減量を可視化する。振動データをAIで解析し故障の事前予知を行うことで、適切なタイミングでの保守も実現したい考え。

無停電電源装置を組み入れ、停電時にも正常に冷却運転が完了するように改良するため、電力環境がよくない地域でも使用できる。日本国内にとどまらず、アジアなどごみの処理を課題にしている国々への提供も視野に入れている。

同装置は廃棄物を高温で加熱し、かき混ぜながら乾燥させることで滅菌・減量をするもの。廃棄物の容量を5分の1から50分の1まで減らすことができる。運搬や燃やすために使用していた燃料コストを大幅に削減することができる。

乾燥後は臭いも抑えられるため、肥料や飼料の原料としてそのまま利用できるほか、固形燃料にすることで再生エネルギーとしての利用も期待する。同社は「おむつの処理にも適しているので、病院や介護施設でも活用してもらえるのでは」とする。

生ごみなどの廃棄物は、運搬時や処理する際に多量の燃料を使うため、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを発生させる原因となる。ごみを出さない工夫の必要がある一方、ごみ自体を出した時点で処理をして、再生エネルギーや肥料・飼料として生まれ変わらせることで、ごみ自体を排出させない考え。

 

脱炭素J&C wb
□電気なしで水素発生

化学材料などの研究・開発を手掛けるジャパン・アドバンスト・ケミカルズ(プロセス開発センター=同市中央区上溝)は、高圧ガス工業とカーボンナノチューブを利用した高効率高耐久水素発生電極を開発する。水中に設置して太陽光を照射することにより、光をエネルギーに変換し、電力を消費することなく水素を発生させるもの。

通常、水素の生成には、高価な貴金属(プラチナ等)を電極に用いるが、今回のプロジェクトではカーボンナノチューブ(炭素原子のみで構成されている物質)と炭化ケイ素を電極に用いることで安価に生成できる手法を実現する。

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。