相模原市内に拠点を置く無人航空機(ドローン)の関連事業者4社で構成する団体「SDCMa(エスディーシーマ・川合靖一代表理事)」は14日、ドローンラウンジ・ジュピター(中央区横山)で記者会見を開き、ドローンを活用した災害救助を目的に、同市との災害協定の締結を目指していくと発表した。【2023年10月1日号掲載】
同日、会見前に同団体の役員らは本村賢太郎市長を表敬訪問し、市との訓練や連携を強化していくことを確認した。
エスディーシーマは「サガミハラ・ドローン・クライシス・マネジメント・アソシエイション」の頭文字。ドローンを活用した災害時の支援活動により「空から相模原を護る」として、2021年5月に設立、23年5月に一般社団法人化した。
消防防災ヘリコプターを保有していない同市において、ドローンにより災害時に必要な初期情報や救助判断に役立つ情報を提供することなどを目的に活動している。
具体的には、災害時に市の要請をうけ、ドローンの空撮による写真や映像の提供、レーダーを使った測量・調査、赤外線カメラによる行方不明者の捜索などが行えるとしている。
同団体は、1日に行われた九都県市合同防災訓練に参加。相模総合補給廠一部返還などの中央会場では、ドローンが上空から撮影した映像が会場の大型スクリーンに映し出され、被災状況を確認する訓練が行われた。
緑区藤野地区の会場では、災害で孤立したと想定した地区の住民が、ブルーシートを使って地面に「SOS」の文字をつくり、それをドローンが上空から発見し、本部に映像を送る訓練を行った。
代表理事の川合氏は「山間部の土砂災害など、人が近づけない現場でも、ドローンにより迅速に被害状況の把握など初動対応ができる」と話す。
19年の東日本台風による緑区の豪雨災害では、消防局のドローンが行方不明者の捜索に使われるなど、災害時におけるドローンの活用は期待されている。
しかし、川合氏は「消防だけでは、機体数もパイロット数も足りていない」と指摘する。現在、市消防局でドローン部隊があるのは、津久井消防署のみでドローンは4機。川合氏は「土砂崩れや河川氾濫が複数カ所で同時に発生した場合、消防の人員だけでは足りない。公的機関の要請をうけ、災害時に出動できる民間パイロットの育成が必要」と語る。
同団体では今後、「ドローン防災カリキュラム」を作成し、会員業者が運営するドローンスクールにて実施していく方針。飛行技能訓練のほか、行政などに提供する画像の処理や情報伝達の訓練なども含まれる。このほか、災害対策飛行訓練も毎月行っている。
川合氏は「スクールの卒業生は500人以上。パイロットの育成に努め、災害時でも機能する組織に強化していく。ドローンで空から相模原を護りたい」と力強く語った。