相模湖地域の商工会、観光協会、自治会連合会などの地域団体が中心となり、行政機関(神奈川県、相模原市)や民間企業(アトリエヨシノ、相模湖リゾート)と連携して「常設型相模湖野外バレエ劇場」の建設を目指す、相模湖芸術・文化のまちづくり実行委員会(実行委員長=小川喜平相模湖商工会会長)が7月に発足し、10月11日にキックオフと初の会合を開くことで本格稼働した。相模湖湖上バレエの開催や各種文化・芸術イベントの誘致などで機運を醸成し、劇場を軸として相模湖地域のまちおこしを図る。【2023年10月20日号掲載】
県は「日本バレエの母」と呼ばれるエリアナ・パブロワ(和名=霧島エリ子)が国内初の稽古場(バレエスクール)を鎌倉市七里ガ浜に開いたため、神奈川を「バレエ発祥の地」とアピールする。「文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいをつくり出す」というマグネット・カルチャー(マグカル)の振興を図る黒岩祐治知事も、これまでに「神奈川(鎌倉市)は日本バレエの発祥の地。その聖地を相模湖に作るのはいかがか」と話すなど理解を示す。
相模湖湖畔に本社を構えるバレエ衣装レンタルで全国トップシェアのアトリエヨシノ(与瀬)は、07年、09年、16年の3回、「さがみ湖野外バレエフェスティバル」の開催に衣装するなど、舞台芸術を通して地域を盛り上げる活動に力を入れている。
劇場建設に向けた活動は、フェイズ1から同3の3期に分けて段階的に取り組む。設立から1年~3年以内のフェイズ1(定着期)で相模湖湖上バレエの開催や相模湖交流センターでのバレエイベントなどを通して、バレエの潜在的可能性を実感するとともに、地域全体でバレエを核とした芸術文化活動に親しむ。
相模湖バレエが全国的に認知され、芸術文化関連のイベントを目的に国内外から多くの人が年間を通じて集まってくる段階をフェイズ2(展開期)とし、インバウンド集客のための宿泊施設などを誘致する。定住・移住促進策を拡充することで、バレエ関係者やアーティストの移住を進める。
4月に、相模湖商工会を含む津久井地区商工会連絡協議会は津久井地域(津久井、城山、相模湖、藤野)の魅力づくりを考えるシンポジウムを開催。その中のパネルディスカッションで、アトリエヨシノの吉野勝恵社「座席が回転する半野外型の劇場を建設してほしい。経済的にも、地域活性化にも確実につながる」と訴えていた。