オリンパス相模原物流センター㊦、目標の達成より人材成長に成果/段階的な設備導入で業務継続


相模原市とさがみはらロボット導入支援センター(事務局・さがみはら産業創造センター=SIC)は9月14日、自社工場や倉庫の自動化に関心がある製造・物流関係者を対象に、自動倉庫の導入に成功したオリンパス相模原物流センター(相模原市南区麻溝台1)の見学会・セミナーを開いた。物流では人手不足が叫ばれる中、参加した物流や自動化の担当者は業界の泣き所と言われる3つの課題を解決した秘けつを探った。

参加した12人は動画として記録したり、担当者に積極的に質問したりするなど関心の高さが伺えた。圏央道沿いの産業構造が製造から物流へ移っていることに伴い、若手技術者の興味も変化していると捉えている。

 

◇段階的に設備導入

自動倉庫ロボット「オートストア」を先行して導入するフェイズ1の工事が済んだ後、バケット自動倉庫と「ユニシャトル」を設置するフェイズ2ですべての機器を連動させる段階的な手法で進めた。川崎から相模原に物流センターを移転したばかりで、「既存の業務を続けながらのランニングチェンジが必須だと考えた」と説明した。

すべての自動化設備の導入が完了した21年1月から約半年後の同年7月には、25年を目標としていた①出庫行数38%増(1日3000行)増加②委託費31%減(51人削減)③保管可能数20%増(1350パレット増加)―を前倒しで達成した。原さんは「目標達成以上に重要な成果だと捉えているのが、携わった多くの人材の成長に寄与したこと」と話す。

格子状のレールを縦横に行き交うロボット(赤い箱状のもの)

格子状のレールを縦横に行き交うロボット(赤い箱状のもの)



オートストアは保管可能箱数が1万3685箱(ビン)で、出庫(ピッキング)能力は作業者4人で1時間450行。バケット自動倉庫は保管可能箱数が4300箱で、出庫能力は作業者3人で同470行となっている。前者は単位面積当たりの保管効率と作業効率の両立、後者は出荷頻度の高い品物の作業効率化を狙って導入した。

バケット自動倉庫(奥)とユニシャトル(手前)

バケット自動倉庫(奥)とユニシャトル(手前)



2つの設備を結ぶユニシャトルは、配送先ごとにピッキングした搬送用ビン(製品をひとまとめにした箱)を出荷順に自動で並び替える機能があり、616個のコンテナを格納できる。

◇震災を機に相模原へ

同センターはDLP相模原の4、5階に入居しており、倉庫棟(約3万平方㍍)、事務棟(約600平方㍍)。

11年3月の東日本大震災を機に「石油コンビナートや埋め立て地などリスクから離れたかった」(原さん)として、川崎市内の京浜工業地帯にあった物流拠点を移転する形で15年に開設。圏央道の開通で地の利が良く、地盤の強固さと免振構造を完備した施設などの条件がそろう相模原市内に2カ所の候補を選定した。

同センターでは「地域の経済活性化に貢献したい」との考えでSICと連携した若手技術者の育成支援を行っており、今回のセミナーも一環。「各企業の物流部門の底上げを図りたい」とし、企業の枠を超えた情報交換や共有機会の創出も検討しており、地域企業と物流の共同化の可能性も探っている。

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