相模原市は10月30日、南区新磯の勝坂地区で移動が困難な地域住民の足として、小型電気自動車を活用した実証実験を開始した。「グリーンスローモビリティ」と呼ばれる時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を活用した移動サービスで、地元住民らで構成する導入検討委員会が運行主体となる。交通不便地域での買い物や通院などの新たな移動手段として注目される。【2023年11月1日号掲載】
同日の出発式には地元住民のほか、本村賢太郎市長や甘利明衆院議員、市議会議員など約20人が参加。本村市長は「住民の協力のもとで運行を行っていく事業。交通移動の地域課題の解決につながる」と期待を寄せた。
電動車は普通免許で運転でき、地域のボランティアドライバーによる道路運送法上の許可・登録を必要としない無償運行。車両は市が準備し、実際の運行や本格導入に向けた検討などは地域主体で行っていく。
新磯地区は人口約1万3千人、約6千世帯、高齢化率は27・8%(1月1日時点)。高齢化率は市の平均(約26%)とさほど変わらないが、地区内に相模川の河岸段丘があるため、高低差があり坂道が多く、バス停への行き来に苦慮する高齢者が多いという。
運行ルートは定時定路線で毎週月、木曜の午前9時と午後2時の1日2便。勝坂コミュニティセンターを起点に、勝坂地区内の住宅街を周回し、商業施設「ツルハドラッグ磯部店」へ接続する。期間は12月21日まで。
新磯地区まちづくり会議が母体となり、昨年11月に導入検討員会を発足し、実証運行に向けた検討を進めてきた。今回の実証運行の結果を踏まえ、2024年度からは通年実証を行い、25年度から本格運行を見込んでいる。今回の実証運行は新磯地区内の勝坂地区だが、今年度内に上磯部、下磯部、新磯野の3地区での実証運行も検討が進められている。