産業廃棄物の埋設や土地評価の不正操作などが発覚している相模原市南区の土地区画整理事業「麻溝台・新磯野(A&A)第1整備地区」を巡り、土地区画整理審議会が1月16日、市役所で非公開で開かれた。関係者への本紙の取材で、市が諮問していた「換地設計」の見直し案について同審議会は承認する答申を出したことがわかった。【2024年2月1日号掲載】
同審議会は、地方公共団体が施工する土地区画整理事業において、土地区画整理法に基づき設けられる。地権者の代表7人と学識経験者2人の計9人で構成されている。
市が示した換地設計案の策定方法は、市の「申出換地実地取扱基準」に基づき定めた。「申し出に沿った換地エリア内に換地を定めることを原則とする」「施行者が別途定める公正な方法で量的に調整した上で、これらの換地を定めることができるものとする」としている。基準に「施行者が別途定める」としている申し出のあった地積の総量が超過しているエリアなど、申し出の状況を踏まえ、調整方法をエリアごとに決めた。
Aエリアは幹線道路沿いの土地で、申し出のあった地積の総量がエリア面積を超過しているため、優先順位により換地する宅地を決定する。優先順位は①エリアの底地となっている住宅②幹線道路(村富相武台線)に接道している宅地③幹線道路(町田新磯線)に接道している宅地④用途地域が同一(第二種住居地域)の宅地⑤用途(住居系)が同一の宅地―。
複数の従前地を所有している所有者がAエリアに集約して換地を希望した場合、優先順位が高い従前地へ、他の従前地を一定の指数まで集約して換地が可能。指数を超える分は第2希望へ換地する。
Bエリアは、申し出のあった地積の総量がエリア面積を超過しなかったことから、希望者全員を換地する。Cエリアも同じく希望者全員を換地。賃貸希望者と売却希望者は分けて換地する。
関係者によると、審議会では「複数の土地を1筆にまとめる率が地権者にとって有利であり、不公平」と懸念する意見や「地権者に理解されるよう市の丁寧な説明や説得が必要」などの意見があったが、承認する答申を出したことがわかった。
また、同審議会が昨年8月に承認する答申を出した市の「地中障害物等の取扱方針」では、地中障害物の取扱については、住居系エリアは1㍍は地中障害物がない状態にする。生活支援・工業系エリアはレーダー調査で確認された地中障害物の除去は行わないと明記。地中障害物の調査方法は地中レーダー調査を行い、反応があった場所についてはボーリング調査を行い、地中障害物の有無を判定する。「レーダー調査で地中障害物が確認されなかった画地から、地中障害物が発出した場合は、施行者(市)の責任において撤去または、撤去相当額を補償する」としている。
地中障害物がないと判断された土地から、地中障害物が発出した場合、市は「土地評価は変更しない」と答えている。
土地評価基準の改正について、市は「地中障害物が確認されなかった宅地は、障害物がない宅地へ換地」「確認された宅地は原則、障害物を地中に残置する宅地へ換地」としている。
処理費用の負担は、地表から2㍍までの地中障害物を対象として、処理費用の65%を地権者が負担し、評価額から減じる。残り35%の処理費用を施行者である市が負担するとしている。処理費用に対する負担については「処理費用を踏まえた一定の係数により宅地評価を見直す」。これにより、換地がなくなる宅地はないとしている。