柏木実業専門学校の伊藤教諭、簿記の入門テキスト執筆/留学生向けにルビや対応表添付


簿記を初めて学ぶ人や外国人留学生に―。柏木実業専門学校(大和市深見東1)総括教諭の伊藤正義さんは18日、全国経理教育協会が実施する全経簿記3級商業簿記の2024年度改定に対応した入門テキストを執筆し、日本能率協会マネジメントセンターから発行する。近年は専門学校で簿記を学ぶ留学生が多いため、効果的に学習ができるよう漢字にはルビ(振り仮名)を振るなど工夫した。B4判、税込み1650円。全国の書店やインターネット通販サイトから購入できる。【2024年2月1日号掲載】

全経簿記3級向けテキストを執筆した伊藤教諭

全経簿記3級向けテキストを執筆した伊藤教諭



伊藤さんが手掛けた『初学者・留学生が合格できる 全経簿記3級テキスト&模擬問題集』(同協会推薦)は、主に留学生や初めて簿記を受験する日本人学生などが対象。日本語に慣れていない留学生向けに振り仮名を振ったほか、中国語(簡体)やネパール語、ベトナム語など6カ国語の言語別勘定科目対応表を付録とした。若者や言葉に慣れない留学生にも「視覚的に分かりやすいように」と、イラストや図解も多く配置している。

対応表は同校で使われているものをベースに、今回のテキスト用に伊藤さんが再編集したもの。試作品を同校の学生に配布したところ、23年度の試験では合格率が向上したとする。「専門用語を母国語に置き換えた方が、より理解が深まる」(伊藤さん)。

テキストは5章立て。1章で簿記の概要を知り、2章から4章までで簿記検定に必要な「損益計算書と賃貸対照表の作成」「基本的な帳簿の作成」といった〝いろは〟を学ぶことができる。学習テーマごとに解説を行った後、学習内容を確認するために演習問題を解かせる流れ。2章まで、解説に入る前に、知識がなくても考えてもらおうと例題を配置。最終章では検定試験本番を想定し、全3回の模擬試験問題を収録している。

同級は、個人商店や自営業など小規模株式会社の経理担当者などとして必要な商業簿記に関する知識を有し、簡易な実務処理ができることを証明する資格として履歴書にも記載できる。日本国内でオフィスワーカーとして働く人材の育成を図る同校では、ビジネススキルの基礎教養、簿記検定のファーストステップとして、1年目の夏ごろに合格を目指している。

同校では、同センターが過去に出版していた教材を使用していたことがあり、「分かりやすい作り」と他の教員からも好評だった。出題範囲の改定などを経て廃盤となっていたため、同様のテキスト・問題集の再版を出版元であった同センターに要望したところ、編集者からの勧めもあって文章に心得のある伊藤さんが執筆することになった。

趣味の一環で小説を書き、インターネットの投稿サイトで公開している伊藤さん。「分かりやすい簡便な表現を使うよう心掛けた」と話し、講義で使用するテキストや問題集なども自作してきたこともあり「執筆自体、苦ではなかった」と振り返った。

執筆にあたっては、校内の簿記教員や、他校へのヒアリングなどを行い、意見を反映させた。その一番の成果がルビだ。日本国籍を持つ学生には両親がともに外国出身のケースもあり、日常的な文章の読解には不便はないものの、専門的な文章になると読みにくいものもあるとする。

伊藤さんは「この本で簿記の基礎をしっかり固めてもらい、全経2級や日商簿記へとステップアップしてほしい」と呼び掛けている。取材時、「機会があれば日商3級や全経2級などのテキストも執筆したい」と話した。

 

 

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