相模原市・大西大通り線巡り、立ち退き対象住民が集会開く/既存道路の整備優先を


相模原市が橋本駅周辺整備事業で計画する新設道路「大西大通り線」に対し、地元住民が反対していることを巡り、道路新設で立ち退きを迫られる緑区西橋本2、3丁目の住民有志らは4日、サンエールさがみはら(緑区西橋本)で「大西大通り新設を問う住民集会」を開催した。地元住民ら約50人が参加。主催者側は「地権者の一人ひとりは気持ちの中では反対でも表に出せていない。この道路計画を理解し共有して確認しあう会を企画した」と説明した。【2024年2月10日号掲載】

橋本駅周辺の交通量を解説する篭島氏

橋本駅周辺の交通量を解説する篭島氏



集会では、元県立相原高校教員の篭島新一氏(川崎市在住)が、市の道路新設の重要な根拠となっている交通量予測について調査結果を解説。その後の意見交流会で、住民からは「既存の幹線道路の整備を優先するべき」「利害関係者である地権者の意見が反映されず、道路新設が決定したように進んでいるのはおかしい」などの反対意見が相次いだ。

大西大通り線は、リニア中央新幹線の「神奈川県駅(仮称)」が建設される橋本駅南口地区と圏央道の相模原インターチェンジ(IC)へと繋がる橋本相原線を結ぶ2車線の新設道路。整備計画は西橋本の住宅街を約1キロに渡り横断し、住宅など約100棟、約200人の地権者が立ち退きの対象となっている。市が2023年3月に決定した橋本駅周辺整備推進事業の都市計画では、33年度の完成を目指すとしている。

大西大通り線などの位置図

大西大通り線などの位置図



市の試算ではリニア開業後、橋本駅周辺に1万8430台の交通量が発生するとしている。内訳は県立相原高校跡地などを活用した駅前開発事業により、1日あたり1万7800台、リニア開業により同630台の交通量発生としており、相模原ICなど津久井方面から同7300台の増加と見込んでいる。

篭島氏は「津久井方面7300台の市の内訳は、橋本相原線が5000台増加、橋本大通り線が2300台増加としているが、橋本相原線の突出した増加予測は、周辺人口や生活実態を考慮していない」と述べた。甲府市のリニア山梨県駅(仮称)の事例などを紹介し、山梨県駅は最寄り駅から約3㌔離れているが、神奈川県駅はJR横浜線・相模線、京王相模原線の2社3路線が乗り入れるターミナル駅と直結しており、市の予測ほど交通量が増加するのか疑問を呈した。また「市の予測には少子高齢化や人口減少の視点が欠けている」と指摘した。

市の担当課は本紙の取材に「国交省の大規模開発に関するマニュアルに基づき、想定ではあるが、将来像を描きながら適切なシミュレーションをしている」と説明した。

地元住民からは「住宅街に道路を新設するのではなく、橋本相原線・相原城山線、橋本大通り線など整備途中の幹線道路の整備を優先させ、リニア開業後の交通状況をみたうえで、必要かどうか判断するべき」などの意見があった。

本紙取材に市の担当課は道路新設の必要性について「橋本駅周辺から相模原ICへの速達性を高めることにより、周辺都市間との交流・連携を支える道路として必要」「駅前の土地を有効活用するため、大規模備構造物を建設できないリニア駅上に道路(橋本駅南口駅前通り線)を配置し、同線と直線的に接続できるよう線形(路線の形状)を決定した」と説明した。

市は道路用地取得のための測量を進めていく方針で、23年度以内に事業認可の申請を目指すとしている。一方、地権者の一部には「市の測量に協力しない」などの動きも活発化しており、住民有志らは引き続き、市側との対話を求めていくとしている。

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