県央相模川サミット、脱炭素や災害対策へ相互連携協力/


相模原・厚木・座間・海老名の4市と愛川町、清川村の首長らが相模川流域の共通課題について話し合う「県央相模川サミット」(会長=山口貴裕・厚木市長)がこのほど、相模原市民会館(中央3)で開かれた。2050年に「二酸化炭素(CO2)排出量ゼロ」(カーボンニュートラル)実現を共通目標に掲げた取り組みなどについて議論し、相互に協力・連携しながら取り組む方向性を確認した。【2024年3月1日号掲載】

会議に出席した6自治体の首長=相模原市民会館

会議に出席した6自治体の首長=相模原市民会館



本村市長は「母なる川・相模川はわれわれの素晴らしい財産であり、通じて6市町村が一体となってワクワクする地域づくりができれば」と話した。

構成する6自治体は、「将来の世代も安心して暮らせる持続可能な社会をつくるため」として、22年12月に共同宣言を発表した。カーボンニュートラルに向けた取り組みについて「住民生活や経済活動などあらゆる分野に影響するものであり、実現には地方自治体の役割は大きいもの」との認識を示している。

今年度は、構成自治体の新たな取り組みや課題に加え、県地球温暖化対策計画の改定素案について情報共有と意見交換を23年10月に実施。11月には民間事業者から講師を招き、公共施設における購入電力の再生可能エネルギー(再エネ)化について学んだほか、民間事業者との共同調達も視野に入れた意見交換会も開いた。

エネルギー価格の高騰による電力契約の受付停止や、燃料調整費の補正予算対応など各自治体が共通して危機感を持っている。「これらの勉強会は関心が高い」(事務局)といい、今後は「協働することで相乗効果を生む取り組みを引き続き研究していく」とする。

県からオブザーバーとして小板橋聡士副知事は、20年度の県内全体のCO2排出量が約5600万㌧(県推計)で、このうち県央地域が19%を占めていると説明した。工場など産業部門(オフィスや運輸除く)の排出比率が45%と、全地域(32~56%)の平均値と同等の水準となった。一方で、業務部門や家庭部門もそれぞれ約2割となり、まんべんなくCO2が排出されている。30年(中期目標)には13年度ベースで46%減を目指している。

内野優海老名市長は「広域連携で取り組む方が、スケールメリットが大きい。一自治体で取り組むのは難しく、オブザーバーとしての県の指導力が必要で、広域連携して取り組む施策をバックアップしてほしい」と求める。一方で、「県民の3分の2の人口と多くの産業を抱える横浜・川崎・相模原が協力しないと、50%削減は実現できない」と訴える。

小板橋副知事は「県や3政令市も排出者であり主体として同じ目標掲げて、条例の改定や計画を策定し自分たちでできることは取り組んでいる。県としては各自治体や各部門を後押しをする支援措置を講じる」と答える。

内野市長が指摘するのは、市町村の規模や特性の違い、そして「森林のCO2吸収機能」だ。相模原市の森林面積は約19万ヘクタールで総面積の約6割を占めるが、隣接する清川村は約6400ヘクタールで約9割にもなる。一方、同じ政令指定都市でも横浜市は4万4千ヘクタールで約2割、川崎市は約770ヘクタールで1割に満たない。

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