相模原市横山のエバーフレッシュ、おにぎりとコーヒーのカフェ/隣の専門店で独自ブレンドの豆使用


おにぎりカフェ・バー「エバーフレッシュ」(略称=エバフレ)が相模原市中央区横山3丁目にオープンし、近所に住む10代の小学生から90代の高齢者まで幅広い客層が訪れる。市内で野菜や果物を販売する「丸相青果」の飲食部門として始めた事業で、創業者の孫・祐汰さんがいれるコーヒーと、その妻・衣舞季(いぶき)さんが手作りするおにぎりなどを味わえる。【2024年3月10日号掲載】

井上衣舞季さん
一児の母でもある衣舞季さんは、「子供が生まれて添加物など気になるようになった。からだに優しいものを使うよう心掛けている」と話す。ブームになりつつあるという「おにぎり」。「もともとご飯やおにぎりが好きで、県内や都内のおにぎりスタンドを食べ歩くのが好き」といい、「相模原においしいおにぎりを」と開店を考えていた。

おにぎりは、「粒がしっかりとしているが、甘味と粘りがあり、まとまりやすい」という新潟産の米・新之助に、「数十種類から、歯切れのいい、薄くてしっかりとしたものを選んだ」という有明産のりを巻く。

具は定番の梅干し(150円)やおかか(同)、しゃけ(250円)のほか、若者や子供に人気のツナマヨネーズ(同)、唐揚げ(同)など15種類から選べる。人気は長芋たまり漬け(150円)や卵黄漬け(250円)、肉巻き(250円)。相模原ご当地食材として、味噌そのものの風味を生かした「津久井大豆味噌」(同)の売れ行きも好調だという。

バリスタ(コーヒを入れる人)の祐汰さんがいれるオリジナルブレンド「エバフレブレンド」(400円)は、「おにぎりに合うコーヒー」として、同店の隣にある自家焙煎コーヒー専門店クラーヌに依頼して開発した独自のブレンド。「かすかな酸味とお茶のようにさわやかな味」特徴とする。エスプレッソ(500円)やカフェラテ(600円)のコーヒー類のほか、お茶・ジュース類も出す。

おにぎりに合う味と香りで配合してもらったという「エバフレブレンド」

おにぎりに合う味と香りで配合してもらったという「エバフレブレンド」



運営する丸相青果(緑区西橋本1)は、学校や病院の給食食材として野菜などを卸している。同社の飲食部門という位置づけの同店では、「フードロスを削減したい」という考えから、キャンセルなどで余った野菜を具とした日替わりスープを提供している。おにぎり2個に日替わりスープが付いたスープセット(500円)などもある。

名前の由来となった植物エバーフレッシュ(ネムノキの仲間)は、昼は葉を開き、夜になると閉じる就眠運動を行う。昼はカフェ、夜はスナックバーという二面性と、木「邪気を払い、良好な人間関係を築くことができる」という風水の効果を意識したもの。

井上さんが手作りした2階の内装

井上さんが手作りした2階の内装



1階はカウンター8席、2階は4人掛けテーブル3卓とカウンター3席。カフェとしての営業時間は午前7時から午後5時まで。おにぎりやコーヒーはテイクアウトも可能で、事前の予約があれば、予算に応じて仕出し弁当やオードブルも作る。衣舞季さんは「会社の会議や、子供会などの食事にぜひ」と呼び掛ける。

 

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「あなたが購入したチケットで、見ず知らずの子供に食事を提供」。エバフレは利用客に食券を購入してもらい、中学生未満を対象に食事を無料で提供する取り組み「フューチャーチケット」を行っている。

1枚を購入すると子供1食分の支援につながるチケット

1枚を購入すると子供1食分の支援につながるチケット



カウンターのコルクボードには、チケットが6枚(取材開始時)貼られている。客が会計時に1枚500円で購入したもので、店に来た子供が手に取りやすいように入口付近に置いてある。水曜日と金曜日の週2日、カフェの営業が終わる前の午後2時から、バーの客でにぎわう前の午後5時まで受け入れる。

オープンから間もない1月のある日の放課後、数人の小学生が遊びに行く前に小遣いやお年玉を握りしめておにぎりを買いに来た。同店でもっとも安いおにぎりは「塩」の100円だ。所持金がなく何も食べずに、見ているだけの子供がいた。

「僕なんか、親ガチャ(くじのように生まれる家庭環境が選べず、その後の人生が左右されること)失敗だよ」という小学生の言葉に、衣舞季さんには「まだお父さん、お母さん、大好きという年頃なのに、子供の口からそのような言葉を聞いたら居たたまれなくなった」と振り返る。

この取り組みには「家庭の事情はそれぞれだが、せめてみんなで一緒に食事ができれば」との思いがあった。

いわゆる「子ども食堂」は、フードバンクの食材や寄付で運営され、月数回の開催が多い。食材費は食券で賄われるため、何かしたくても機会のなかった客でも飲食した際に支援ができる。課題はチケットの枚数に限りがあること。

衣舞季さんは「子供たちがいつ来ても、ボードにチケットがある状態にしたい」と、チケットの周知を急ぐ。保護者と連絡用のSNSでやり取りをするなど「悩みを共有したい。シングルや共働きで夕飯時に孤独な子供のために、保護者の許可があれば預かる」と話していた。

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