酒蔵・久保田酒造(相模原市緑区根小屋)は20日、相模原市内で栽培された酒米・山田錦のみを使用した日本酒「相模灘 相模原×山田錦」を販売する。ことしは昨年以上に米の収穫量が増えたため、1150本に増産した。同社営業部長の太田将志さんによると、ことしのできは「日本酒本来のガツンとキレのあるうまみがある」と説明する。【2024年4月10日号掲載】
市内の米と水を使い、市内の醸造蔵が醸した「オール相模原」の純米酒のためか、初年度(2022年)は即完売。生産量が増えた2023年も早期完売しており、市民の関心の高さがうかがえる。「地元の人に多く飲んでもらいたい」との考えで、同社直売所や市内の相模灘取扱店などでのみ販売する。
緑区の城北・小松地区と青根地区で生産された酒米を使った相模灘の製造は、ことしで3年目を迎える。毎年、杜氏(酒の作り手)の技術と酒米の品質が年々向上していることもあり、昨年はさわやかな酸味のあるフルーティーな風味だったのに対し、ことしは「より米本来のうま味を出せる作り方」を心がけた。山田錦を60%まで磨いて仕込む希少な純米酒だ。
同社が「相模灘」の銘柄で手掛ける日本酒は、兵庫県産山田錦、長野県産美山錦、岡山県産雄町を使い、アルコール度数16度で仕上げる。「ほかの相模灘とは違った手法を試している」ということしの「相模原×山田錦」は、アルコール度数を調整するために水を加える割水をしない完全無濾過原酒。そのため度数は18度で、日本酒本来の「濃厚な香りと味わい」が楽しめる。
太田さんは「いろいろな飲み方ができる酒に仕上げたので、固定観念にとらわれず自分なりの飲み方で楽しんでほしい」と呼び掛ける。相模原の山田錦は「ポテンシャルを秘めた原石」と例え、5~10年をかけて磨く必要がある。「相模原で育てた米で、ここまでおいしい酒ができるようになっている。これからもどんどん品質・酒質の向上を目指していきたい」と話した。
精米歩合60%の純米酒。4合瓶(720㍉㍑入り)のみで、定価は税込み1580円。問い合わせは、同酒造042・784・0045へ。