さがみこファーム(相模原市緑区三ケ木)、たまエンパワー(東京都多摩市)、生活クラブ生活協同組合神奈川(横浜市)、生活クラブ生活協同組合東京(東京世田谷区)は、相模原緑区青野原の前戸地区に新たにソーラーシェアリング発電所2基を建設し、下部の農地でワイン用ブドウの試験栽培を4月から始める。【2024年4月1日号掲載】
6号機発電所(直流11・4㌔㍗、交流9・9㌔㍗)の太陽光パネルで発電した再生可能エネルギー電気は、サイト内の農業用ハウスで自家消費し、電動農機具の充電などに使用することで農業の脱炭素化を実現。余剰電気は綾瀬市にある生活クラブ神奈川の配送センターに送電され、県内の「電気の地産地消」に貢献する。
5号機発電所(直流29・4㌔㍗、交流24・8㌔㍗)の電気は、すべて生活クラブ配送センターに送る。太陽光パネルの下部では、さがみこファームがワイン用ブドウ3種の試験栽培を実施する。大学の研究によると、遮光した方が成熟は遅れるものの収量・品質とも遜色ないという結果が出ている。隣接地で同品種のブドウを栽培し、遮光下での生育と比較評価をしていく。
同事業は、たまエンパワーが発電事業者となり、固定価格買取(FIT)を介さずに生活クラブ神奈川と20年間の売電契約を締結する非FIT・オフサイトコーポレートPPA(電力の直接売買)方式で実施する。建設にあたっては、2023年度県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金にオフサイトPPA事例として初採択されたほか、生活クラブ自然エネルギー基金、生活クラブ組合員から寄付を集めた。
同地区には既に4基のソーラーシェアリグ発電所が稼働中であり、パネルの下では36種類1100本のブルーベリーが楽しめる会員制体験農園「さがみこベリーガーデン」をさがみこファームが運営している。年会員は個人会員300人、コーポレート会員10社を数え、エネルギーと農業のみならず、観光、教育を掛け合わせた複合展開を行っている。
新たなプロジェクトは、これまでの取り組みを更に発展させ、さがみこファームのコーポレート会員である生活クラブ神奈川と同東京と連携し、発電事業者、営農者、小売電気事業者、需要家が、地域と一体で進める。「単なるソーラーシェアリングとは一線を画し、地域活性化と地域課題解決を目指す地域共生型ソーラーシェアリングのモデルを目指す」としている。
引き続き、同組合と2メガワット規模の発電所建設を近隣地域に横展開する計画であり、今回の事業はそのための第一歩となる。