【町田市】多摩モノレール延伸に方向性示す/24年度内に開業後の需要予測など


東京都は多摩都市モノレールの町田駅方面への延伸構想について、2024年度にも開業後の需要予測など事業化に向けた検討を進める。町田市と多摩市はそれぞれのウェブページで公表した「モノレール沿線まちづくり構想」の素案では、モノレールが走るまちの将来像やその実現に向けたまちづくりの方向性、段階的な取組方針を明らかにした。【2024年1月1日号掲載】

町田駅(原町田)方面へ延伸予定の多摩モノレール=多摩センター駅

町田駅(原町田)方面への延伸が計画される多摩モノレール=多摩センター駅



□団地再生や魅力創出

「みんなが安心して快適に住み続けられるわたしの〝ココチよさ〟がかなうまち」をビジョンとする構想には、高齢化が進む団地の再生に向け、商業施設の導入やリノベーションで多様な世代を呼び込む案などを盛り込んだ。町田市は町田駅周辺の都市機能の向上を目指す整備計画を24年度に策定する。

町田延伸ルートは、都が19年から検討を始め、多摩センター駅(多摩市)から町田GIONスタジアム(市立陸上競技場)がある野津田公園や学校(日大三高、桜美林学園、町田高校)、市民病院、大型団地などを経由して町田駅(原町田6)に至る約16㌔を21年に選定。速達性は他案よりやや劣るものの、確実に需要の見込める拠点を経由する。

多摩モノ掲載用
沿線地域の課題として、整備から40〜55年が経過した大規模団地の良好な住まいづくりや働く場所の創出、施設・公園・スポーツコンテンツなど地域資源の活用、みどり(里山・緑地など)の活用、多摩センター駅と町田駅周辺の現状や移動の利便性などが挙げられている。

□交通利便性の課題大

モノレール延伸への期待は大きい。市も「市の中央部に鉄道駅がないため、基幹交通として市内の拠点をモノレールが通ることで移動の速達性や定時性が向上し、利便性が高まるはず」とする。

市内には4路線計10駅があるが、町田(JR、小田急)や成瀬(小田急)、南町田グランベリーパーク(東急)などは南部、相原(JR)や多摩境(京王)は北部と、市域の端に位置する。

延伸ルートとなる小野路や忠生、木曽など中央部は鉄道が通っておらず、町田山崎団地、木曽住宅、境川団地、小山田桜台団地なの住宅団地が集中している。交通アクセスは町田駅などからのバスが主体で、利用者も多く、一部では車体を2台分つないだ連接バスによる急行便などを運行。道路渋滞の影響を受けやすく定時性に課題がある。

□全体構想は約90㌔

同モノレールは都や沿線の自治体、鉄道会社などが出資する第三セクター。1998年11月に上北台(東京都東大和市)―立川北(同立川市)間、2000年1月に立川北―多摩センター間が開業し、現在は計約16㌔で運行している。今回の多摩センター―町田間のほか、上北台―箱根ケ崎(瑞穂町)間や多摩センター―八王子間の延伸計画もあり、全体構想は約93㌔に及ぶ。

16年の国交省の諮問機関・交通政策審議会の答申では、上北台―箱根ケ崎間と多摩センター―町田間の延伸について、事業化に向け「具体的な調整を進めるべき」との方向性が示された。

軌道を通す導入空間となる都市計画道路の整備が進んでいるため、上北台―箱根ケ崎間(約7㌔)が先行している。23年に都市計画案などをまとめ、12月には住民説明会が開かれた。30年代半ばの開業を目指す。

 

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