【京王電鉄】新型通勤車を26年初め導入へ/感性分析AIで需要分析しデザイン


京王電鉄は、京王線に新型通勤車両「2000系」を導入する。2027年3月までに10両4編成の計40両を導入する計画で、26年初めに10両1編成の営業運転を始める。製造は総合車両製作所(横浜市金沢区)が手掛ける。人の感性を分析できるAIサービスも用いて、乗客や社員のニーズを分析し、コンセプトに合ったデザインを採用した。【2024年5月20日号掲載】

京王新車両
「日本一安全でサービスの良い鉄道」の実現に向けて、2000系車両では、「もっと、安全に、そして安心して、これからもずっと、のっていただける車両を。全ての世代に、やさしく、そして、ワクワクしてもらえる車両を」をコンセプトに掲げる。利用する幅広い世代の乗客や多様な社員の声から得られたニーズをAI(人工知能)なども用いて分析し、もっともコンセプトにマッチする外観デザインや内装とした。

車両電気部車両計画改良担当の大川晶さんは「今回、新造車両を企画・製作するにあたっては、新しいニーズを把握し、車両設計やデザインに反映していくために、利用者や車両部門以外の社員に協力してもらいながらの検討にチャレンジした。ニーズがより多様化・高度化する中で、感性を軸としたAI分析には、言葉に言い表しきれない視覚や触覚のニーズに応えていくことのできる大きな可能性を感じている」と語る。

外観に関しては、車両前面、側面ともに円をモチーフにしたラウンド型とすることで、多くの人が優しさを感じ、安心できる車両を表現。内装に関しても同様にラウンド形をモチーフとし、心を落ち着かせるナチュラルな空間を演出する。

子育て世代やシニア世代など、年齢や性別、また目的を問わず、あらゆる乗客が安全・快適に鉄道を利用してもらえるよう、5号車に同社初となる大型フリースペース(仮称)を設置。座席を廃止することでベビーカーや車いすにとって利用しやすいエリアとし、加えて、「子供が夢中になれるように」と景色を楽しめる大型窓を配置。車両乗降時にエレベーターに近い5号車に設定する。

5号車に設置する大型フリースペース

5号車に設置する大型フリースペース



従来車両より環境性能をさらに高める施策としてフルSiC素子を用いた新型のVVVFインバータ制御装置(同社7000系車両と比較し約20%の省エネ性能向上)を導入し、消費電力のさらなる削減や車両の軽量化を図る。加えて、「ナノイーX2」方式の空気清浄機を各車両に2台搭載し、車内環境の向上を図る。

リアルタイム伝送機能を持つ車内防犯カメラを各車両に4台ずつ設置する。次世代の車両情報管理装置を採用し、車両機器を常に監視し車両不具合時の早期対応や、蓄積したデータを予防保全に活用。さらなる安全性の向上や鉄道オペレーションの高度化・効率化を推進していく。

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