相模原市は4月15日、同市の統計資料を総合的に収録した「令和5年版統計書」を刊行した。統計書によると、同市の人口推計は2023年10月1日時点で72万5087人で、22年の10月1日時点より1472人減少。23年6月に同市が公表した将来人口推計では、25年に人口のピークを迎えるとしていたが、3年早く22年をピークに人口減少していることがわかった。【2024年5月20日号掲載】
統計書によると、同市の人口推計は22年10月1日時点で72万6559人でピークを迎えており、23年から減少に転じている。
同市が23年6月に公表した将来人口推計(グラフ参照)は、5年に1度行われる国勢調査の20年の結果を基に、70年まで推計。これによると25年に72万8042人でピークを迎え、その後は減少を続け、40年には70万1773人、70年には56万8161人になるとしていたが、推計より3年早く22年でピークを迎えていた。
しかし、世帯数は23年10月1日時点で34万4797世帯で、前年比より3072世帯増加している。1世帯当たり人員は22年同月日で2・13人、23年同月日は2・10人で、人口は減少しているが、一人暮らしなどが増えたとみられ、世帯数は増加している。
人口減少が予想より早く進んだ要因は、出生児数が死亡者数を下回る「自然減」。23年は出生4005人、死亡7979人で、出生が死亡を3974人下回った。統計書によると、23年は1日平均で出生11・0人、死亡21・9人で、1日平均で10・9人の自然減が発生している。
一方、23年の市内への転入者は35421人、転出者は32704人で、転入者が転出者を上回る「転入超過」となっており、2717人の増加。総務省がことし1月に発表した住民基本台帳に基づく2023年の人口移動報告では、同市は「転入超過数」が全国11位だった。全国的にも高い転入超過数ではあるものの、自然減がこれを上回っており、人口減少となっている。
総務省が4月12日に発表した23年10月1日時点の日本の総人口推計は1億2435人で、前年比59万5000人減で、13年連続で減少した。
自然減は17年連続で、減少幅は過去最大の83万7000人だった。75歳以上の人口が初めて2000万人を超えた一方で、15歳未満は1417万3000人で過去最少を更新した。
都道府県別では、神奈川県の増減率は前年比マイナス0・04%。全国で東京都のみがプラスで0・34%。東京都も自然減の状態だが、転入超過数が大きく、一極集中の傾向が表れている。
総務省の23年の人口移動報告によると、神奈川県は転入超過が2万8606人で、東京都に次いで全国で2番目に多かったが、自然減の方が大きく人口減少となった。
年齢別では生産年齢人口の15~64歳は前年比25万6000人減の7395万人で、人口に占める割合は59・5%。15歳未満は同32万9000人減の1417万3000人で全体の11・4%だった。
65歳以上の高齢者は同9000人減の3622万7000人。戦後初めて減少したが、今後は増加傾向が続くとみられる。人口に占める割合は29・1%と過去最高を更新した。
同市の人口に占める年齢別割合は24年1月1日時点で、生産年齢人口の15~64歳は62・1%で全国平均により高い。15歳未満は11・0%で全国平均とほぼ同じ。
65歳以上の高齢者は26・9%で全国平均より低い。同市は全国平均よりはよい状態ともいえるが、転入超過数が増えても、自然減がこれを上回り人口減少となる全国的な傾向と変わりはない。
日本の総人口は08年の1億2808万人をピークに減少局面に入っており、少子高齢化が加速している。同市の人口減少は23年からなので、総人口と比べだいぶタイムラグがあったものの、少子化は想定を上回るスピードで進み、同市の将来人口推計では25年にピークを迎えるはずが、22年にピークを迎えてしまった。
どの自治体も市外から訪れる交流人口を増やし、定住人口増加につなげようと施策を行っているが、転入超過数では自然減を補えない状況となっている。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来推計では、日本の総人口は約30年後に1億人を割り、2100年に6277万人に減るとされる。
全国の2023年の出生数は75万8631人で過去最低だった。これは社人研が35年ごろになる予測した水準で、10年以上早く少子化が進行している。