【指定都市長会】特別市制度化へ方針など検討


相模原市など全国20政令指定都市の首長で構成する指定都市長会(会長・久元喜造神戸市長)は5月20日、東京都・千代田区内のホテルで会合を開いた。相模原市の本村賢太郎市長らが出席して、新型コロナワクチン定期接種の円滑な実施に向けた要請など、3件の提言・要請をまとめた。近く、各分野の担当省庁に提出する方針だ。【2024年6月1日号掲載】

政令市などの「基礎自治体」と「広域自治体」(道府県)の2層構造を廃止し、権限と財源を市に一本化する「特別自治市(特別市)」の早期制度化に向け、国や経済界とともに全国知事会や全国市長会への説明や情報発信などを行う方針を確認した。

相模原市など20政令市で構成する指定都市会議

相模原市など20政令市で構成する指定都市会議



□特別市制度化へ方針

同日午前には「多様な大都市制度実現プロジェクト」の会議も開かれた。今年度の進め方や取り組みの方向性などを確認した。国や政党、国会議員、各種団体への働きかけなどの機運醸成の手法や機運醸成のため必要な課題について議論を行い、具体的な活動を進める。

23年度に作成した「特別市実現による効果の事例集」を基に、国や国会議員、経済界に対する説明資料を作成。特別市の実現が、市民だけでなく圏域の発展や、日本のエンジン役として不可欠であり、国の国家戦略であることについて、その根拠も合わせて記載した資料とする。

取り組みの内容、働きかけ先などに応じて、関係市長による戦略調整の場を設定する。国、国会議員、各政党、経済界など、特別市の法制化などに影響力のある関係者に対する働きかけ等について、実施時期、担当する市長、内容、実施方法などの戦略的な調整を行う。

会議では11年以来となる「指定都市を応援する国会議員の会」全体会を年内に開催することを確認し、本村市長は「考えを打ち出すことが必要」と訴えた。

□ワクチン支援を要請

指定都市長会は、新型コロナワクチン接種の標準的な接種費用について「当初7000円と示されていたが、1万5300円程度に見直され、インフルエンザワクチン接種と比較して著しく高額な水準となることが示されている。また、ワクチンの市場価格、使用するワクチンの種類や流通体制等、不確定な要素が多い」と指摘する。

今年度は市町村への助成金の支給が示されているが、物価高騰などの影響によりワクチン価格がさらに上昇した場合、市町村財政に大きな影響を与えることや、自己負担額が高額となることによる接種希望者の減退を懸念。ワクチン価格の上昇分については、国費による支援を行うことを要請した。

ワクチンの種類ごとの特性や安全性、有効性及び長期的な副反応が疑われる症状に関する情報などについて、地方自治体や国民に情報提供や周知を行うことを要請。副反応に関する専門的な相談体制を構築する地方自治体に対して、必要な費用を国費から支援することも求めた。

会議では、障害者相談事業や生活困窮者自立支援事業に関して社会福祉事業に位置付けて非課税とする要請や、障害福祉サービスへの十分な財源措置に関する提言を採択した。

 

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