リニア促進期成同盟会、会議後首相に協力要請/黒岩知事「やっと前に進む」


リニア中央新幹線の建設を推進する沿線自治体で構成する「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」の総会が7日、東京都内のホテルで行われ、JR側に開業時期の明示を求めることなど8項目を決議した。終了後、知事らは首相官邸で岸田文雄首相と会談し、早期全線整備に向けた国の協力を仰いだ。【2024年6月20日号掲載】

岸田首相に面会した黒岩知事㊨ら

岸田首相に面会した黒岩知事㊨ら



静岡県知事に就任した鈴木康友知事も初出席し、「現行ルートでの整備、スピード感をもって課題解決に向けた取り組みを進めるとともに、まずは品川―名古屋間の開業、その後、大阪までの全線開業を目指す立場を共有している」と述べた。一方で、「水と環境の問題はないがしろにはできない」とも話し、リニアの整備と大井川の水資源、および南アルプスの自然環境の保全との両立に向けてJR東海と対話を進めるとした。

トンネル採掘による川の水量減少などの懸念があるとして静岡県の川勝平太知事が工事に反対していたため、工区の着工にめどが立たっていない。JR東海は3月、東京・品川―名古屋間について最短で27年としていた開業目標を断念すると表明した。

同社の丹羽俊介社長は、鈴木知事に「早期開業を目指す方針に変わりはない。地域の方々との双方向のコミュニケーションを大切にしながら真摯に取り組んでいきたい」と応じた。

決議では「27年の開業断念で沿線自治体のまちづくりや産業振興に懸念が出ている」と指摘。岐阜県のトンネル掘削現場近くで井戸などの水位が低下した問題を受け、工事で生活環境に問題が発生した際は沿線自治体と迅速な情報共有を行うことも盛り込んだ。総会を終えた知事らはその後、国土交通省を訪問し、斉藤鉄夫大臣に決議に基づく要望書を提出した。

続いて、岸田文雄総理を訪問。要望書を受け取った岸田総理は「国家プロジェクトとして1日も早い全線開業に向けた取り組みを進めていく」と話し、「整備が適切に進むよう環境や水資源の状況やJR東海の財務状況をモニタリングし、必要な指導と技術的な支援をする」と強調した。首相に神奈川県の黒岩祐治知事は「神奈川での工事はおおむね順調に進んでいる。早期に開通するよう総理のリーダシップを」と求めた。

黒岩知事は首相官邸での談話について、「静岡県知事が代わると、こんなに雰囲気が変わるのかと思うほど終始和やかだった」と振り返った。推進の立場を取る鈴木知事就任についても「環境への言及もあったが、早期着工への意欲を繰り返し話していた。やっと前に進むようになったと感じている」と期待を表した。

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