東京都は6月17日、2025年11月に定期借地権が終了する南大沢駅北側都有地(約4万7538平方㍍)を活用する事業予定者を「三井不動産」に決定した。26年以降も三井アウトレットパーク多摩南大沢が継続する見通しとなった。今年度内に基本協定を締結し、25年度に定期借地権設定契約の締結、建築工事に着手したい考え。提案貸付料は月額約5752万円。【2024年7月1日号掲載】
□B画地施設建て替え
同社の提案では「にぎわいの継続&発展 ~さあ、南大沢から未来をかえよう~」をコンセプトに、A画地(約2万3012平方㍍)は既存建物(店舗棟2階建て、駐車場棟4階建て)を利用し、約9割(約110店舗)のテナントの営業を継続する。現在、平面駐車場として利用しているC画地(約4008平方㍍)の計画は示されていない。
スーパーマーケットやレストランなどがあるB画地(約2万517平方㍍)は、店舗棟と駐車場棟の建て替えを予定して店舗数を大幅な拡大するほか、フードコートやイベントスペースを新たに設置する。「スポーツ」「エンターテイメント」コンテンツを活用したイベントで学生などの新たな顧客層を取り込む。
地域の事業者や団体、鉄道事業者と連携したイベント等を実施するほか、新たにB画地に設置するフードコートやイベントスペースをエリアマネジメント拠点として活用して、地域団体やサークル団体などに貸し出す。実証実験への協力や、サイクルシェアステーションの利用促進などに加え、無人モビリティ(電動車いす・無人バス・配送ロボット)の導入も検討している。
□都立大と連携事業も
アウトレットパークは「ラ・フェット多摩南大沢」として00年9月に開業し、07年に店舗数や駐車場を拡大。定期借地期間は当初、15年11月までだったが、事業者公募に再度選定されたことで25年11月まで契約が延長。ことし2月に公募型プロポーザル方式で事業者を募集し、1社からの提案を審査した。
審査では、現行の施設・サービスやほかのアウトレット施設との差別化を図る観点からも、子育て世代に加えて、将来を見据えたシニア層の利用を促進するサービスなどの提案を求める声があった。また、都立大と隣接する立地特性など南大沢ならではの環境をさらに生かした提案のほか、地域の若手事業者の出店機会を設けるなど地元事業者との連携を強化する取り組みを求められる指摘もあった。
□駅周辺で都有地検討
民間事業者・地元企業などの活力を生かしながら都有地を最大限に有効活用しようと、都は3月末に「南大沢駅周辺地区まちづくり方針」を策定した。北口はアウトレットに加え、東京都立大学(約42万6千平方㍍)が方針の対象。南口は市の行政施設や文化施設(市南大沢文化会館や南大沢中郷公園)のほか、商業施設(フレンテ南大沢、ガレリア・ユギなど)、ヤマザキ動物看護大学、ER八王子動物高度医療救命救急センターなども含まれる。
三井不動産に対し、魅力的な商業施設を整備するほか、まちづくり方針に例示する施設・機能をはじめとし、事業者提案により本事業で整備することが適切と考える機能を整備するよう要望。にぎわいを継続・発展させるという観点を十分に考慮し、既存建物を使用する提案のほか、更地から整備する場合には、整備期間中も含め、にぎわいを継続する工夫をした提案を求めている。