新紙幣、相模原市内企業の影響は?/「利益生まない設備投資」対応進まず苦慮


20年ぶりとなる新紙幣が3日から流通した。金融機関の現金自動預け払い機(ATM)や大手コンビニエンスストアの自動釣銭機などの新紙幣対応は進む一方、中小企業の自動販売機や券売機などの多くは新札発行日に間に合わず、対応に苦慮しているのが現状だ。新紙幣への対応は利益を生まない設備投資であり、大きな負担となる地元中小企業の実情やメーカーの対応に迫った。【2024年7月20日号、部分掲載】

 □年内で自販機半分か

相模原市を中心に厚木・町田・八王子市で「ダイドードリンコ」と「サントリー」の自動販売機の設置・管理を行うラクサニー(相模原市中央区中央)の横山智久社長は「管理する自動販売機約1000台のうち、新札対応できているのは約100台で10%程度。年内で半分、すべて対応するには2025年いっぱいかかる」と話す。

紙幣識別部品を説明する横山社長

紙幣識別部品を説明する横山社長



同社によると、対応方法は2つ。1つは「ビルバリデータ(ビルバリ)」と呼ばれる紙幣識別ユニット部分の交換。2つ目は、紙幣識別ユニットのデータの書き換えだという。横山社長は「半分の台数はデータの書き換えで対応できるが、書き換える機器は全国の代理店が順番待ちで、現時点で飲料メーカーから届いていない。交換する紙幣識別ユニットも順番待ちで、月に数十台程度」と語る。

2021年11月から新500円玉が発行されている。新500円玉の対応について、横山社長は「約8割は対応済みだが、残り2割はストップしている状態。自動販売機の故障修理などがあれば、順次対応している」という。新500円玉の対応が終わる前に、新紙幣の対応が来た状況だ。

キャッシュレス決済について、横山社長は「電子マネー対応の自動販売機は維持費も高く、キャッシュレス決済の手数料もかかり、利幅が薄くなるため中小企業には手が出せない。今後、価格や手数料が下がれば、一気に普及していくのではないか」と話した。

 □券売機の交換苦慮

ラーメン店を相模原市内で4店舗運営する経営者は「券売機の導入費が大変だ」とため息をもらす。・・・・(webではここまで。続きは紙面をお買い求めください)

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