【愛川】京都のマイファーム、放棄茶畑で6次産業化/JA愛川の工場を取得


耕作放棄地の再生・収益化事業などを手掛けるマイファーム(京都市下京区)は2023年12月、JA県央愛川が保有していた茶工場(愛川町半原)を譲り受け、日本茶の生産・加工・販売を今年度から開始した。24年7月から同社の日本茶の新ブランド「Ochanowa(おちゃのわ)」の新商品として自社サイトで販売を開始している。耕作放棄となる可能性があった茶畑などを引き継ぎ、自社ブランドの6次産業化への挑戦として注目されている。【2024年9月20日号掲載】

6次産業化は、農林漁業者(1次産業)が加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)も行うことで、生産物の価値を高め、農業所得の向上を目指す取り組み。1次・2次・3次産業のかけ算に由来している。

同社が譲渡を受けた茶工場は2014年完成。敷地面積は4624・64平方㍍、延床面積は1502・37平方㍍。摘み取った茶葉の水分を取りのぞく、蒸す、乾燥させる、揉みこむ、ふるいにかけて選別するなどの荒茶の工程を行う。

愛川茶畑
同社では農家と契約し、耕作放棄される可能性のあった愛川町の約17㌶の茶畑=写真=を有機栽培に転換。ことし(5月)、初めて茶摘みし、7月に商品化して自社ブランドとして販売までこぎ着けた。

愛川町の茶工場で製品を紹介する担当者

愛川町の茶工場で製品を紹介する担当者



「一番茶・煎茶ティーバッグ25㌘」は1080円(税込)、「一番茶・煎茶パウダースティック20㌘」は1080円(同)で、自社サイトで販売している。

マイファーム02
今回販売の茶葉は、転換期間中の有機農産物。有機JAS認定を取得するには「多年生作物の茶は、収穫前3年以上、化学合成された農薬や化学肥料を使用しない」ことが必要となる。

同社では愛川町を拠点に日本茶の有機栽培・加工に取り組み、有機JAS認証取得を計画し、ゆくゆくは国外への販売も見据えている。

同社の西辻一真社長は2006年に京大農学部卒。07年に同社を設立。耕作放棄地の再生・収益化事業、体験農園事業、流通販売事業など、農業関連の事業を多岐にわたり展開。2023年11月には農業ソーシャルベンチャーとして、日本初の上場を果たしている。

同社は「日本の誇る代表的な作物である茶の生産で自社ブランドを確立させ、世界中で日本茶の素晴らしさを認知してもらおうと事業を開始した。愛川町から全国へ、世界へ愛川茶の魅力を発信していきたい。その結果、収益化が実現し、地域の活性化につながると考えている」としている。

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。