【中央新幹線】静岡県 地質調査を容認/大井川利水関係者が承認で


静岡県は9月17日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事を巡り、掘削工事の前段階で実施する県内での「高速長尺先進ボーリング調査」の実施を容認するとJR東海へ文書を出した。同月10日にJR東海から静岡県へボーリング調査実施の了解を求める依頼に対し、同県は「大井川利水関係協議会」から調査の実施を了解する報告があったとして了解した。2024年5月に辞職した川勝平太前知事が静岡工区着工と調査を認めなかった姿勢から大きく変化した。【2024年10月1日号掲載】

リニア静岡
同県は「ボーリング調査の実施については、流域市町や利水者が了解しており、また、地質構造・水資源部会専門部会において、一定のリスク管理がなされるものと技術的観点から確認されていることから、了解できるものと考えている」とJR東海に回答した。

ボーリング調査は、9月時点で山梨県側から静岡県境まで316mの位置まで調査が進められている。JR東海は、県境を越えて静岡県内においても調査を実施したいと求めていた。

調査は、大井川の源流にある田代ダムが設備工事のため取水を停止する25年11月までの期間に行われる。取水停止により大井川の流量が増加するため、静岡県内のボーリング調査による県外流出量が流量増加分より少ないことを確認のうえ、流失量を大井川に戻さないことについても容認された。

川勝前知事は、大井川の水資源の流出と南アルプスの環境保全の課題を示し、県内工区着工やボーリング調査を認めることはなかった。静岡工区の遅れのため、24年3月にJR東海は品川から名古屋間の27年の開業を断念することを表明。開業は34年以降の見通しとなっている。

24年5月に就任した静岡県の鈴木康友知事は就任後、リニア中央新幹線静岡工区を巡り「今ある課題に解決策が示され、流域自治体の不安が解消されたら進めるべきだ」と推進する考えを示していた。

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。