27日投開票の衆院選を前に神奈川13区(横浜市瀬谷区、大和市、綾瀬市)の立候補予定者による公開討論会が11日、綾瀬市文化会館(綾瀬市深谷中)で開かれ、経済政策や社会保障・防災、外交・安全保障などをテーマについて持論を展開し、意見を交えた。大和・綾瀬の両青年会議所が主催。(年齢など取材時点)【2024年10月20日号掲載】
参加者は着座順で、太栄志氏(47)=立憲民主党・前職=、丸田康一郎氏(39)=自由民主党・新人=、石井匡氏(57)=参政党・新人=、京利英(44)=日本維新の会・新人=、早川宇多子(67)=日本共産党・新人=の5人。(以降、テーマごとの発言順)
経済政策について、早川氏は「働く人の賃金を上げるために、中小企業を支援する。大企業に貯められた内部留保金に時限的に課税し、年間10兆円の税収を支援に充てる」、石井氏は「消費税を0%にして、社会保険料なども見直し国民の負担率を全体で約35%にする。国民の消費を増やして経済を内需で回せるようにする」、太氏は「グリーン、デジタル、医療、一次産業への投資で新しい成長モデルをつくり、景気の好循環をつくっていく。消費税減税を含めた対策を行う」とそれぞれ主張した。
また、丸田氏は「デフレ脱却が最大の課題。物価対策や賃上げも必要だが、稼げる仕事や新しい成長産業をつくり、育てることで人口が減っても成長ができる」、京氏は「減税を進めたい。経済成長が見込め、1・2~1・3%の税収増が見込める。教育無償化など暮らしに必要な予算を付けていく政策を進める」とそれぞれ考えを述べた。
社会保障・災害では、丸田氏が「政治改革と行政の役割のあり方をセットで年金に対する安心感を高める。今の子育て政策は子供がいる人が中心となっているが、結婚ができない、子供が持てないといった人への経済対策を行う」、早川氏は「政府の年金削減案には大反対。年金で暮らしていけるような制度を作っていかなければならない。防災面について、従来型ではない地域に則した対策を立て、ジェンダーに配慮した避難所が必要」と持論を展開した。
続いて、京氏は「働く世代が多くの高齢者を支えている歪んだ社会保険のあり方を直していく。医療費が1割、2割負担で安く病院をサロンのように利用する高齢者がいる。後期高齢者の医療保険制度など見直す」、石井氏は「国債の発行額が高いと言われているが、反面、資産が世界でも一番多くある国でもある。国が国民のために使える制度作りを行う。インフラを整備し、国が国民の生命財産を守る仕組みをつくる」、太氏は「年金の世代間ギャップをどう埋めながら老後の安心を提供していくのか、年金制度を再び安心できる制度に見直す。医療、介護、子育て分野で人手不足となっているので、国として支援していく」と述べた。
外交・安全保障では、石井氏は「国家として自立した外交を行うこと。裏付けは経済力と軍事力、各国との関係性。プレゼンスが落ち続けているのは、米国の属国のように立ち回っている点だ」と指摘。京氏は「役割はアジア太平洋地域の平和の構築に責任を持つことが柱。米兵が日本で事件を起こしても、日本の司法では取り締まれない。日米地位協定を改正していく」と訴えた。
丸田氏は「防衛力をつくり強化すること、米国を含めた同志国との関係を深めること、国を守る姿勢を示すこと。自衛隊の憲法上の位置づけを明確し最大の抑止力にする」と主張した。太氏は「米国の力を活用しながら、アジアでどう平和を構築していくか見直す。日米安保体制には有機フッ素化合物の流出問題など周辺住民の犠牲があってはならない」と述べた。早川氏は「専守防衛の国で、攻撃されていなくても敵基地を攻撃できることは許せない。ヘリの不時着が相次いでいるが、危険なものが人家の上を飛ぶ状況をなくしたい」と持論を展開した。