県営水道が直面している課題に対し、限られた人材を有効活用するための業務の効率化や人材育成を目的とした組織の見直しが必要であるとし、県は出先組織の再編計画策定を目指している。このほど素案を公表し、11月8日まで意見を募集する。相模原市内の3営業所を相模原水道営業所(中央区光が丘)に集約するほか、大和水道営業所(大和市西鶴間3)を建て替えて海老名水道営業所と統合する計画などが盛り込まれている。【2024年10月20日号掲載】
24年6月現在は、本庁経営課の出先として相模原、相模原南(南区相模大野6)、津久井(緑区中野)、大和などの10水道営業所、谷ケ原など2浄水場、水道水質センターを置くほか、本庁水道施設課の藤沢駐在事務所(管路整備センター)も対象。営業所では水道管の維持・更新や水道料金の徴収など、浄水場では原水の取水・浄水を行っている。職員数は出先組織のみで515人(事務職116人、技術職399人)。
組織再編の背景には、①老朽化水道管の大量更新・耐震化の推進②災害・事故発生時の対応力強化③県内5事業者のシステム再構築に合わせた大規模な施設リニューアル④ベテラン技術職員の一斉退職―の課題がある。再編に向け「営業所の統合で組織力を強化」「現場対応力の確保」「専門センターの設置による業務の効率化」「円滑な技術継承と人材の育成」を視点に計画を策定している。
具体的には現行の10営業所を相模原・相模原南・津久井を相模原水道営業所に統合するなど6営業所(相模原、鎌倉、藤沢、平塚、厚木、大和)に統合する。廃止営業所の管理業務人員等の削減や、1営業所の職員増によるスケールメリットを生かし、更新需要増に対応する職員を確保。災害・事故発生時における初動体制(現場確認、情報収集、分析・対策の検討、県民対応など)を強化する計画だ。
統合後の営業所は、大和水道営業所以外は既存の庁舎を継続活用する。大和の庁舎は1971年に建設され老朽化していることに加え、海老名水道営業所との統合で職員数が増加するため、規模に合わせた庁舎を現有敷地内で建て替える。25~26年で基本・詳細設計と地質調査を行い、27~29年で仮庁舎を建設後、新庁舎を建設する見込み。
各水道営業所の給水装置工事の審査業務を切り出し、「(仮称)給水装置工事審査センター」を設置。現在構築中の「(仮称)給水装置工事オンラインシステム」による電子申請を推進し、営業所への来所を必要としない体制とする。・専門的な知識を必要とする業務ノウハウの蓄積や技術継承の向上を図る。
大規模施設リニューアルには綿密な計画の立案や確実な施工が求められるため、必要な職種(土木、電気、機械、建築など)を集中配置。管路整備センターに、浄水場の再整備やポンプ所の構築などの業務を拡充し、大規模施設リニューアルの立案・設計から施工まで一連の業務を着実に実施する体制とする。専門的な知識を必要とする業務ノウハウの蓄積や技術継承の向上を目指す。
素案は県企業局水道部経営課や各水道営業所、各浄水場のほか、相模原市各行政資料コーナー、大和市役所本庁舎1階情報公開コーナーなどでも閲覧できる。12月頃に意見を公表し、25年3月頃に計画などを策定する予定。