【相模原】25年度当初予算、一般会計を9.8%増で編成/災害用井戸や中山間地域で「道の駅」設置へ


相模原市は10日、一般会計を前年度当初比9・8%(335億円)増の3750億円とする2025度当初予算案を市議会に上程した。4年連続で増額となる。24年度に続いて、特に重点的に力を入れる取り組みとする「少子化対策」「雇用促進対策」「中山間地域対策」、市が「個性を生かす分野」として位置付ける▽子育て▽教育▽まちづくり―の取り組みなどに優先的に経費を計上する。(千円以下は切り捨て)【2025年2月20日号掲載】

施設機能の拡充を行う小原の郷

施設機能の拡充を行う小原の郷



 ■雇用・所得改善で増
歳入の市税収入は全体で同96億円(7・2%)増の1438億円。個人市民税は定額減税の終了や雇用・所得環境の改善で64億9048万円(10・9%)減の約662億2084万円、法人市民税は約2億5506万円(4・3%)増の62億1482万円と試算。また、固定資産税は大幅な設備投資が行われたことなどで、約26億321万円(5・3%)の増収で517億4413万円となる見通し。
借金に当たる市債の発行額は、同約52億1990円(24・9%)増の261億4210万円。市が公共施設などを建設する際などに財源の一部として借入れを行う建設債が、小中学校校舎の長寿命化改修事業に係る経費が約99億1990万円(64・5%)増額の約253億130万円となった。普通交付税の振り替えである臨時財政対策債の新規発行がなくなったため、新規発行額がなくなり、前年度の約47億円から皆減となる見込み。
市債残高は25年度末で約33億円増加の約2499億円となる見込み。地方交付税の振り替えである臨時財政対策債を除いた建設債などの残高は同約132億円増の約1133億円となる見通し。市民1人当たりの市債残高(臨時財政対策債を含む)は、政令市20都市中、少ない方から3番目だとする。
 ■校舎長寿命化で増額
歳出は、児童手当が約23億円、教育・保育施設等給付費(施設型給付費、地域型保育給付費など)が約22億円、障害児者介護給付費などが約15億円の増加となったことなどで、扶助費全体(約1159億8738万円)が約89億1906万円(8・3%)増加。義務的経費は同3・9%増の約2214億6048万円とした。
一方、公共施設整備などを行う投資的経費は、小中学校校舎の長寿命化改修事業や県道52号(相模原町田)道路改良事業に係る経費が増加したことなどで、同47・8%増の約373億1132万円となった。
市は「市民のくらしの安全・安心を確保する観点から、老朽化する公共施設などの長寿命化事業に要する経費について、適切に所要額を確保した」としている。
 □3本柱の重点施策
少子化対策では、市子育て応援条例の制定や、さがみはら津久井産材を活用したラトル(がらがら)を出生届出時にプレゼントするなど、社会全体で子育てを応援する機運の醸成を図る(1689万円)。子育て世代のニーズへ対応するため、魅力的で安全・安心に遊べる「子育て応援公園」として改修・更新、淵野辺公園へのふわふわドーム整備、相模原麻溝公園へのロング滑り台の設置に向けて測量・設計などを行う(約7億718万円)。
雇用促進対策では8億370万円を計上。特に起業家創出事業(一部新規)には約5087万円を配分する。優れたアイデアを持ち、株式上場などを目指す成長意欲の高い人材の輩出を目的に、経験豊富なメンターによる支援など、起業家の成長に必要な実践的なプログラムを実施。県と連携し、県央地域で広域的スタートアップ支援組織を構築し、スタートアップのさらなる創出・誘致を進める。
中山間地域対策では、24年度に実施した設置可能性調査の結果を踏まえつつ、中山間地域への「道の駅」設置に向け、具体的な検討を進め基本構想の策定などに取り組む(100万円)。中山間地域の持続的・効率的な移動手段を確保するため、現行の路線バスや乗り合いタクシーなどの再編に向けた実証運行を実施するとともに、AIオンデマンドシステムなどの導入を検討する(約2634万円)。
中山間地域振興モデル地区(推進事業3億6904万円)の小原では、地域の自然や歴史を生かし、来訪者と地域の交流の場、地域活性化の起点となるよう「小原の郷」の機能拡充を実施。青根では「緑の休暇村センター」などの公共施設の利活用や再整備の方向性について検討する。
 □災害対策や救急強化
防災・災害対策の新規事業では、断水が長期化し生活用水の確保が課題となった他県の事例を受け、新たに約5391万円を計上して避難所となる施設などに災害用井戸を設置する。加えて自治会集会所等建設費等助成事業では約2518万円を配分し、自治会が災害時に活用できる井戸設置に関するモデル事業を実施する。
東林分署再整備事業には2890万円を計上し、同分署の基本設計と解体設計を実施する。庁舎の老朽化を解消するとともに、近年の救急需要などを踏まえ、救急隊1隊を新たに設置できるよう再整備を行う。また、通信施設維持管理・消防救急デジタル無線整備事業では10億6767万円を配分し、災害活動時に使用する無線設備に映像通報システムを導入するなど機能を強化する。
 □施設や設備を改修へ
本庁舎等整備事業では4396万円を計上し、施設の老朽化と狭あい化に対応した執務スペースなどを確保するため、新たな別館の整備に向けた設計などを実施する。本会議場改修事業では約1億7252万円を配分し、市民に開かれた議会運営の維持向上を図るため、本会議場と委員会室の映像音響設備の改修を実施(25・26年度継続、総事業費約3億724万円)。
勤労者総合福祉センター(サン・エールさがみはら、緑区西橋本5)では約1億8731万円を配分し、釣り天井の準構造化など改修工事を行う。
総合水泳場改修事業(約3億1882万円)は、メインプールとサブプールの安全性などを向上するため、特定天井や飛び板更新などの改修工事を実施(25・26年度継続、総事業費約17億1670万円)。文化会館改修事業(4億1434万円)では大ホールの安全性などを向上するため、特定天井などの改修工事を行う(同10億8210万円)。
新規事業では約997万円を配分。27年3月19日から9月26日まで横浜市で開催予定の国際園芸博覧会に出展する屋外庭園の設計を行う。

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