【相模原】オリンパス、効率化に加え物流負荷低減/自動梱包機導入で箱サイズも最適化


消化器系内視鏡で世界トップシェアを誇るオリンパスは3月5日、相模原物流センター(相模原市南区麻溝台1)を報道関係者らに公開した。今回新たに導入した高さ可変自動梱包装置で製品出荷時の段ボール箱のサイズを最適化し、トラックの積載効率の向上を図る。2018年から構想を進めてきた倉庫自動化プロジェクトが完了した。【2025年3月20日号掲載】Youtube動画はこちら。

今月から本格稼働した自動梱包機は、梱包する中身の大きさや量を検知して段ボール箱を自動的に切断し、2段階で箱の大きさを調整できる。使用する段ボール箱を12種類から4種類まで抑え、梱包資材や緩衝材の使う量も最小限に抑制。自動梱包装置の稼働により貨物容積は導入前に対して17%削減でき、出荷スピードの向上にもつながると期待する。

オリンパス梱包機 オリンパス 梱包後の箱のサイズと重量を測定し、測定データが運送会社へ自動送信される自動サイズ計測機も導入したことで、運送会社の荷受け時にサイズ・重量測定する作業も不要となる。
同センターでは、大小さまざまなサイズの製品がある内視鏡システムの部品など約4500品目のうち、自動倉庫システムで扱うのはシングルユース(単回使用)と呼ばれる使い捨て型製品など小型の製品約2700品目が対象。従来は作業スタッフが大きめの段ボールケースに製品を詰めた後、緩衝材ですき間を埋めていた。
同社日本地区物流統括の原英一さんは「AI(人工知能)で容量や形状を測って詰め込み方まで指定するものもあるが、手作業で指定通りに詰め込もうとすると時間がかかってしまう」と説明する。
自動化プロジェクトは2018年から調査・研究を始め、第1段階として20年5月にオートストア(自動ピッキングシステム)を稼働。続いて、21年1月にバケット自動倉庫などを導入し、各機器を連動した運用を始めた。最終段階として、貨物数や容積の圧縮を可能な限り行うことで、荷主主導で物流の効率化を図るために、今回の自動梱包機を導入した。
同社の自動倉庫システムのポイントについて、原さんは「倉庫プロセスの6~7割は、作業者が物を取りに行くための歩行に費やされているといわれている。これを根本から変えた。作業者に労働生産性がない動作や必要以上な動作、動作を止める思考をさせないために、動作経済原則を活用した」と話す。
今後は、製品設計(大きさ)や梱包を製品開発の段階から自動物流システムに最適化していく。同社の製品は販売店経由で医療機関に届くが、他社製品も含めて一つの治療に必要な製品を物流面で共同することで「医療を止めない物流」を実現したい考えも示した。
11年3月の東日本大震災を機に石油コンビナートや埋め立て地などのリスクから離れようと、川崎市内の京浜工業地帯にあった物流拠点を移転した。15年、相模原市内の現地に開設。圏央道の開通で地の利が良く、地盤の強固さと免震構造を完備した施設などの条件がそろう相模原市内に2カ所の候補を選定した。

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。