【相模原、座間】相模原支部の合議制へ/地裁に47市・団体が署名提出


相模原市と座間市を管轄する横浜地裁相模原支部(中央区富士見)で裁判官3人による合議制裁判と労働審判の実施を求め、両市長や県弁護士会(岩田武司会長)、地域団体など計47団体で構成する協議会は11日、横浜地裁(横浜市中区)に要望書と市民から集めた署名7742筆を提出した。【2025年3月20日号掲載】

本村市長、県弁護士会長、佐藤市長
署名は24年2月からことし2月まで1年間かけて集めたもので要望先は同地裁の大竹明彦裁判長宛てだったが、同協議会によると民事所長代行者らが対応した。

協議会は23年7月に発足。会長は相模原市の本村賢太郎市長、座間市の佐藤弥斗市長。副会長は相模原商工会議所の杉岡芳樹会頭ら、幹事は両市の自治会連合会の会長が務める。両市の行政や経済団体、住民団体など計47団体が一丸となって合議制の実現を目指している。

合議制は、3人の裁判官の協議によって事件を審理する体制。同地裁相模原支部では1994年の設立以来、1人の裁判官が審理する単独制のみ。県内4支部(川崎、小田原、横須賀、相模原)で唯一、全国の政令指定都市20市にある支部でも唯一、合議制の裁判を行っていない。

労働審判は、労働関係の民事紛争を対象とし、裁判官と労使専門家の計3人で構成する労働審判委員会で行う制度。

要望書では、相模原支部の管内の人口は85万人を超え、23年の刑事事件は232件、民事訴訟は689件に及んでおり、「人口、件数ともこれより少ない支部で合議制が行われているにも関わらず、合議制の裁判が行われていない」「(これだけ署名が集まったことは)市民が合議制裁判と労働審判の早期実現を切実に求めていることの現れ」だとしている。

協議会によると、地裁側は支部のスペース確保や改修、裁判官など人員確保などの課題をあげ、最高裁に報告すると回答したという。

提出後の記者会見で、相模原市の本村市長は「前向きな話はなかった」と明かした。座間市の佐藤市長は「具体的な課題も見えてきており、働きかけていきたい」と話した。

協議会では、横浜地方裁判所、最高裁判所、法務大臣に要望活動を行っているほか、市民参加型シンポジウムを開催するなど、合議制裁判の早期実現に向けて活動を行っている。合議制や労働審判が同支部で行われていないことで、横浜市中区の地裁本庁で行わなければならず、出廷を希望する当事者が出廷できないなど、移動に伴う時間的、金銭的な制約から司法の救済を断念する場合がある。市民が合議制による審理を受けられない不利益や、処理に伴う遅れによる不当な身体的拘束の長期化など不利益が生じているとする。

協議会では24年1月にも地裁に要望書を提出している。この際も対応した所長代行は「全国的な人員や施設の適正配置などの視点が必要なため、最高裁と協議する」と説明していた。

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