2月に相模原支店を開設した群馬銀行。県内では横浜に続き2カ所目の支店となる。間もなく、支店開設から半年。相模原支店の立ち上げから携わってきた稲村勤支店長は、手ごたえを感じているという。ここまでの振り返りと今後の戦略を聞いた。 (聞き手・本橋幸弦、千葉龍太)
――支店開設地として、相模原を選んだ理由を改めて教えてください。
「相模原は、政令指定都市に移行してからも、着実な発展を遂げている。もちろん、相模原と北関東をつなぐ『圏央道』の全面開通も見据えているが、銀行にとってベースとなる法人、個人とも良質なマーケットといえる。 事業所数も群馬・前橋よりも多い。群馬と相模原エリアは非常によく似ていると思う。群馬も相模原と同様、モノづくり産業を中心とした地域。当行でこれまで培ってきたノウハウが相模原でも活かせる」
「また、当行が地盤とする群馬県内は、工業生産額、それに人口も右肩上がりの成長は厳しい。そこで、新たな成長戦略として、相模原など有望なマーケットにも支店を出すことにした」
――県内では横浜に次いで2カ所目の支店になります。
「群馬と神奈川は古くから縁がある。かつて幕末の開港以来、群馬の富岡製糸場で生産された絹糸類が八王子を経由し、横浜港に運ばれた。それが『シルクロード』と呼ばれた。そうした縁から、当行でも横浜、それに経由地の八王子に支店を設けているが、中間にはなかった。八王子―横浜のほぼ中間に位置する相模原に支店を持ったことで、面の展開ができるようになった」
――市内での存在感をいかに高めていくのでしょうか。
「支店開設から現在までを振り返ると、数字は明かせないが、『おおむね想定通り』といえる。今後は、北関東への物流が整備されることで、相模原の企業にとっても、ビジネスチャンスが広がる。群馬での仕事も探せるし、その逆もある。これまで北関東を商圏として見ていなかった企業も少なくない。それが圏央道により、都心だけでなく、北関東にも目を向けられる。そうした場合、互いに仕事を紹介するようなマッチングもできる」
――具体的なイメージを教えて下さい。
「例えば製造業で言えば、群馬は量産系の企業が多い。一方、相模原は小ロットの試作系が中心。ただ、試作だけで成長が見込めるかというと、それも難しい。今後は相模原で試作をして、群馬で量産することも可能になってくる」
――そのほか、差別化策はありますか。
「インターネットを通じて、定期的に情報発信するスキームを構築している。中小企業にとって役に立つ、補助金や経済概況などのビジネスレポートだ。地域企業には、情報の窓口としても利用していただきたい」