ミャンマー進出の可能性を探ろうと、相模原商工会議所工業部会・新成長ビジネスGETプロジェクトは7月19日、市立産業会館(相模原市中央区中央)で、講演会「ミャンマーの人々を知る」を開いた。講師は、現地事情に詳しい内外ニュース社「世界と日本」編集長の寺井融氏。「チャイナ・プラス・ワン」の要衝として注目されるミャンマーだが、実情はどうなのか。地域企業が進出できる可能性はあるのか。寺井氏に聞いた。(聞き手・千葉龍太)
―ミャンマー進出への関心が高まっています。
「長い目でみれば結構だと思うが、進出してから2~3年後といった短期的に利益を出そうと思わない方がよい。なぜか。現地では十分なインフラが整備されていないからだ。電力のみならず、道路や鉄道、港湾もこれから。法律も整っていない。工業習慣や商業習慣といった信頼社会は未成熟だ」
―進出する日本企業も増えています。
「ミャンマーの安い労働力だけに着目して進出するなら難しいといえる。他のアジア諸国と同様、これから上昇する。それよりも別の点に着目すべきだ。実はミャンマーと日本人は国民性が似ている。あまり自己主張はしない。トルコや台湾と並び、『世界三大親日国家』でもある」
―長期的な視野で見た場合、ミャンマー進出の利点は何でしょうか。
「ミャンマーは、ASEAN(アセアン)諸国やインドにも近く、非常によい場所。もう少し時間が経つと、物流や港湾も整備されてくる。来日しているミャンマー人も多く、彼らが帰国すれば、(現地法人の)中間管理職の候補にもなってくる」
―中小企業の単独進出は難しいでしょうか。
「親会社などのバックアップ体制があれば問題ないが、1社単独では難しいのでは。それなら、複数の中小企業が手を組んで共同進出するやり方もある。もし現地進出したら、コストを掛けてでも、元軍人の会社を巻き込むのも有効な手だ。現地にはまだ、『納期』を守るという感覚がない。その点、軍人は納期を守るからだ」
「同じアジアでも、タイにはもう1万社ほどが進出している。労働力が足りなくなっているのが実情だ。いずれ頭打ちになる。ミャンマーは今後、アジア展開をしていく上で、狙い目なのかも知れない」(2013年8月1日号掲載)