―「『防災トランプ』から広がる世代を越えた地域交流の場づくり」のプランを発表しました。防災トランプとは何ですか。
「年齢を問わず幅広い人が楽しめるトランプに『防災』の要素を組み合わせたものです。身の回りにある様々な危険から自分自身を助ける方法を考え、防災意識の向上を目的としたカードゲームです」
―具体的にどのようなゲームでしょうか。
「多くの人は災害時に異なる場所にいたり、状況も違います。とはいえ、防災訓練の多くは画一的といえます。訓練を受けても、家で使えるとは限りません」
「その点、『防災トランプ』では、トランプに52種類のハザード(危険の原因)という『お題』を記載されています。カードを引いた人が、自分目線の情報を加えて、防災発言(想定される危険、具体的な被害、被害を受けない対策)を行って、他プレイヤーの納得させるコミュニケーションを加えた遊び方です」
―開発のきっかけを教えて下さい。
「東日本大震災の直後、被災地に行って医療活動をサポートしました。人の命に触れる場面に接しているなかで『どうやったらこの被害が防げたのか』と考えるようになりました」
「被災地から帰り、サバイバル勉強会などを開きましたが、講演会のようなやり方ですと、参加者がどうしても受け身の姿勢になってしまいます。自分目線での防災なんて考えられません」
―そこで防災トランプを考えたのですか。
「そうです。自分たちが参加できるような仕組みが必要だと思いました。では、具体的にどのようなことをすればと悩んでいるなか、たまたま自分がトランプを楽しんでいる夢を見ました。これだと思い、プランを練りました」
―今後の展開は。
「災害時に行政は全員を助ける余力がありません。自分か近隣しかいません。防災トランプで世代を越えた、地域交流もできます。近隣の助け合いを促しながら、いずれは、住民目線で草の根的な防災情報をデータベースとして整備します。政策提言にもつながるビックデータビジネスも実現できるでしょう」 (聞き手・千葉龍太/2014年2月20日号掲載)