2013年にインプラントによる乳房再建手術が健康保険の適用となり、乳がん治療患者の再建の選択肢が広がった。これを受けた南大和病院(大和市下和田)は、自家組織再建と人工物再建の両術式に対応できる体制を整えている。
乳房再建手術とは、乳がん治療や外傷などで欠損した乳房を元の形に復元する形成手術。
切除後の乳房に患者自身の皮膚や脂肪を移植する「自家組織再建」と、シリコン製の人工乳房(インプラント)を挿入する「人工物再建」、それら両方を組み合わせる方法がある。
同病院は2014年4月、各地のがんセンターなどで多くの乳房再建を手掛けてきた専門医の茅野修史氏を招いた。
形成外科を立ち上げ、「自家組織」による再建をメーンに力を入れている。
乳がん治療の経過は人によって異なり、再建方法もそれぞれ。担当医が患者の状況を把握し、どのように再建していくかを十分に話し合う。「大切なのは本人の満足度だ」と、茅野医師は強調する。
手術時間は自家組織再建が5~10時間で、人工物再建が30分~2時間程度。入院期間も人工物再建なら最大1週間程度で、患者の健康状態によっては入院が不要となるケースもあるという。
参考費用は、保険適用のティッシュ・エキスパンダーを使用した場合、入院・手術費用の自己負担額(3割負担)が10万~20万円程度。シリコンインプラントで約30万円となっている。高額医療費控除を申請すると、実質的な負担額は8万~10万円となる。(2014年10月10日号掲載)