緑区のスリーオー、高機能合金 実用化へ/加工時の難点を克服


試作品を手に持つ小笠社長

試作品を手に持つ小笠社長


 高機能金属・貴金属合金(高機能合金)を開発・製造するスリーオー(相模原市緑区中野)は、高機能合金を材料として利用する提携企業を求めている。同社が独自に開発した高機能合金の実用を本格化させたい考えだ。 
 同社の小笠和男社長が開発した高機能金属・貴金属合金は、金属に独自の添加剤を加え、熱処理と加工技術により硬度を維持。高純度になるほど材質が柔らかくなり、加工しにくくなる難点を克服した。
 金・銀・プラチナといった貴金属や、銅、アルミを地金に使用。各金属の特質を生かしつつ、新たな特性を付加できる。
 形状は、インゴットはもちろん、薄膜・板状(20マイクロメートル~10ミリメートル)、細線・丸棒(16ミリメートル~20ミリメートル)、メッシュなど、用途に合わせてさまざまな加工が可能。機能特性も用途に応じて、純度を変えることでコントロールする。
 高機能金合金(ハイファンクションゴールド=HFゴールド)は、99・99%の高純度金合金から低純度金合金まで製作可能。24金の純度を持つ「HFゴールドK24」は18金並みの硬度を実現しながら、造幣局の品位証明刻印も取得できる。
 また、高機能銀合金(ハイファンクションシルバー)のボンディングワイヤーは、市販品の電気抵抗が2・5~3・0マイクロオームなのに対し、1・67マイクロオームに低減できるという。添加剤の効果で、高純度銀が持つ酸化・硫化耐性も維持している。
 日本をはじめ、世界各国でも特許を取得。電子部品や自動車部品などのほか、宇宙開発、医療・福祉、環境など次世代を担う産業分野にも活用が期待される。
 小笠社長は、金属メーカーで貴金属合金、大手電機メーカーでハードディスクなどの開発に従事。金属合金の可能性を見出した。「生産方法や品質管理は、すでに確立している。高機能合金を各産業に供給することで、地域に貢献したい」と意気込む。
 問い合わせは、同社042(780)7076まで。(芹澤 康成/2014年10月20日号掲載)

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。