イスラム市場への進出企業を育成しようと、相模原市立産業会館(同市中央区中央)でセミナー「イスラム世界を学ぶ」がこのほど開かれた。イスラム教徒(ムスリム)は、世界人口の4分の1、約16億人を占め、巨大市場として注目されている。
慶応大学総合政策学部の奥田敦教授が、イスラム文化の基礎について説明した。イスラム教では、聖典「クルアーン」と預言者・ムハンマドの言行を根拠とした「シャリーア」という法があり、これに従う習慣が根付いているという。
また、同大学で非常勤講師を務める野中葉氏は、インドネシアにおける「ハラールビジネス」を勧める。「現状では緩やかな認証制度で、人々の意識もさまざまだ」と分析した。
ハラール認証は、イスラム法の合法性を示すもの。イスラム法では豚肉を食べることが禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に一定の作法が要求される。この作法が遵守された製品がハラールとされる。食品や薬品、化粧品などが主な対象。世界各地に認証団体があり、それぞれが独自の認証と方法を設けている。国内でも認証団体が乱立し、今後の課題になるという。
インドネシアでは、認証を受けている商品は40%程度。ハラール・マークに対する意識はさほど高くないという。一方で、一度信用を失った製品やレストランは、信用を取り戻すことが非常に困難になるという。
市産業振興財団の森山伸夫事務局長は「相手の世界観の基本となっているイスラム文化を理解することが大切。各業界にとって有益な情報になれば」と話した。(2014年12月10日号掲載)