相模原市防災協会はこのほど、杜のホールはしもと(同市緑区橋本)で防災講演会を開催した。会員ら約350人が参加し、災害時の事業継続について意識を高めた。
講師には、阪神淡路大震災で被災地支援に従事した元横浜市消防局職員の秦好子氏(環境・防災コンサルタント)を招いた。「被災地支援から見えた事業継続対策~その対策は本気ですか~」と題した講演を行い、被災地支援で学んだ減災に向 けた自助・共助の大切さを説いた。
1982年に北海道浦河町沖で発生した「浦河沖地震」を例に挙げた。震度6の揺れを記録したが、大きな被害や犠牲者はなかった。地震が多い浦河町では、強い建物を建てるなど〝地震慣れ〟した生活を営んでいる。
秦氏は大きな地震で被災しながら、小さな被害しかなかった同町を視察。「地震対策は生活の見直し対策でもある」と悟ったという。
阪神淡路大震災において倒壊家屋から助け出された人の7割は、近隣住民の活動によって救助された。一方、全国から派遣された消防隊員や自衛隊員が救出した命は、全体の3割程度に留まった。
町会や自治会への入会をはじめ、あいさつや笑顔で会釈するなど、普段から存在を認識してもらうことを勧める。「自分を助けるために、近所との共助に参加する姿勢も必要だ」と強調した。
八木繁雄理事長(八木商店代表)は「地震対策を再認識し、事業所などの防災体制をさらに強化してほしい」とあいさつ。同協会は、市が掲げる「災害に強いまちづくり」に貢献するため、会員や市民を対象に毎年開催している。 (2015年2月10日号掲載)