浜銀総研が発表、水素関連産業「息の長い取り組みを」/「水素社会実現は数十年要する」


 浜銀総合研究所はこのほど、成長が見込まれる水素関連産業の県内の動向をまとめた。それによると「水素ビジネスの拡大を図る企業もみられる一方、国が目指す水素社会の実現には数十年を要する」とし、息の長い取り組みが必要とした。   (2015年3月10日号掲載)
 県や県内3政令市では、水素社会の実現に向けた動きが進んでいる。
 相模原市では昨年12月、「市水素エネルギー普及促進ビジョン」を策定。供給網の整備を検討するなど、まちづくりや産業の柱にするという。
 すでに普及しはじめている家庭用燃料電池は、2014年3月末で累積導入台数が全国で約7・7万台に達した。県内でも、自治体が導入支援に積極的なこともあり、全国2位の9831台が導入されている。
 また、JX日鉱日石エネルギーが、県内初の商用水素ステーションを昨年12月に海老名市に開所した。今後も横浜市や相模原市など、6カ所への設置を予定。民間企業の主体的なステーション設置を拡大するためには、設備や機器、用地規制の緩和が求められる。
 安定供給体制の構築や販売価格の引き下げに向け、水素を海外から輸入する取り組みも見られる。横浜市西区の千代田化工建設は、海外で産出される天然ガスから水素を製造し、日本で輸入する計画を進めている。
 同社は17年にも川崎市の臨海部に、全国初となる水素受け入れ基地や水素供給網を整備する計画で、あわせて水素発電の実証試験にも取り組む予定。
 浜銀総研は、県内における水素分野の発展性に期待感を示す一方、「水素社会の実現には数十年を要するとみられる。今後、新たな地域産業として盛り上げていくには、息の長い取り組みの推進が望まれる」と指摘した。

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