県内中堅・中小企業の約6割が今春に賃上げを予定していることが、浜銀総合研究所の調べで分かった。トヨタ自動車や日立製作所など、大手企業が相次いで賃上げするなかで、地域の中小企業にも広がっている傾向がうかがえた。賃上げに踏み切る理由として、業績回復を挙げる企業が最多となっているが、一方で最近の人手不足を反映し「雇用の維持・確保」とする企業も目立っていた。
賃上げを予定する企業は、非製造業が53・7%、製造業が65・6%と、全体で6割に迫った。景気回復の影響で2012年から増加傾向に転じ、昨年に5割を超えた。
賃上げを検討する際に最も重視する項目では、「自社の業績」が70・7%と最多となった。次いで、最近の人手不足を反映して「雇用の維持・確保」(16・2%)が続いた。
賃上げ幅は、「前年並み」とする企業が65・4%と最多。一方で「拡大する」が15・4%で前年の18・0%から減少した。
13年まで賃上げが抑制されていたため、昨年の伸び率は高かったと判断。増税後に売り上げが伸び悩む小売業などで、伸び率が落ちた企業もあるためと見ている。
製造業・非製造業別にみると、「賃上げを予定する」企業の割合は製造業で65・6%と前年からさらに上昇。上げ幅を「拡大する」企業の割合が前年調査から上昇した。
非製造業は53・7%となり半数を超えた。しかし、「拡大する」企業の割合が低下するなど、一部業界の低迷が足かせとなった。
調査は、県内中堅・中小企業1240社を対象に調査し、発表したもの。444社(回収率35・8%)が回答した。 (2015年4月1日号掲載)