相模原発祥の「とろけるハンバーグ」が7月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに進出する。福よしを運営するスミソン(相模原市中央区千代田)は、イスラム教の戒律に従って製造されたことを示す「ハラール認証」を取得し、イスラム圏への和牛輸出に乗り出す。 (芹澤 康成/2015年6月10日号掲載)
住村哲央社長は、「本物の和牛の味をイスラム圏の人にも知ってほしい。自慢の〝とろけるハンバーグ〟を食べてもらいたい」と話す。
同社は町田市内に工場を設置し、イスラム教の戒律にのっとった手法でインフラを整えた。加工から流通まで、一貫したサービスを提供する方針だ。
取り扱う和牛は、月に10頭分(約3トン)を目指す。イスラム圏における拠点となるドバイへ輸出する枝肉や、ムスリム(イスラム教徒)観光客向けの枝肉・加工品などを製造する。
ハンバーグは、イスラム圏外での加工が禁じられている。日本でハラールに従って処理した枝肉を輸出し、ドバイの現地工場でハンバーグに加工する。
同社は、日本イスラムセンターから認証を受けた。ムスリムが牛をと畜処理しなければならず、加工・保管・輸送などに厳しい条件が設けられている。
ハラールには、国内でのみ効果を持つローカルハラールもある。ドバイなどイスラム圏の国に輸出するためには、相手国が認める団体から認証を受ける必要がある。
ドバイなどイスラム圏では、おもに牛肉をオーストラリアから輸入しているが、「ワギュウ」と称するブランドも流通。本物の日本産「和牛」をPRしたいという。
今年2月にドバイで開かれたフードショーにおいて、イスラム圏の大使館関係者から高評価を受けたという。和牛のステーキなど数点を出展したが、ハンバーグがもっとも注目を集めた。
ターゲットは高級志向、かつハラール認証の有無に敏感な要人や高所得者などが中心。販売価格は3万~5万円を見込んでいる。