箱根町と小田急、エヴァで観光復興へ/新劇場版公開機にコラボ企画


2019年5月に箱根山の噴火警戒レベルが引き上げられたことに加え10月の台風19号で被害を受け、観光業にとって逆風が吹く箱根町では、街が舞台となっている人気アニメ「エヴァンゲリオン」とコラボレーションする取り組みを10日から始めた。6月に新作映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開されることを受け、街をアニメの世界観に装飾して「聖地巡礼」するファンなどの観光客を誘致する。イベント期間は6月末まで。

アニメは、地球規模の大災害「セカンドインパクト」によって、環境が著しく変化した後の世界を描いた作品。14歳の少年少女が汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」に搭乗し、芦ノ湖北岸の仙石原に建設された架空の都市「第3新東京市」を襲撃する謎の敵「使徒」との戦い繰り広げる。

エヴァ初号機の前であいさつする五十嵐社長

エヴァ初号機の前であいさつする五十嵐社長



9日の報道関係者向けツアーでは、箱根ロープウェイの桃源台駅構内で式典が開かれ、小田急箱根HDの五十嵐秀社長、藤田観光の恩田豊執行役員らが出席した。五十嵐社長は「自然災害の爪痕が残るが、エヴァンゲリオンの世界を堪能してほしい」とあいさつした。

作品の版権を管理するグラウンドワークスも、劇場版公開を機に「元気な箱根を」との思いを共有。同社の神村靖宏社長は「一生懸命復旧を進めていると聞いている。そんな力を後押しするため、観光客には箱根に注目してほしい」と話した。

「過去最大規模でエヴァンゲリオン化」をキーワードとしたイベント「箱根エヴァ化計画」では、劇中でも「桃源台中央駅」として登場する桃源台駅を国連特務機関「ネルフ」の本部をイメージしたラッピングを施し、「初号機」のフィギュア(高さ約2㍍)を展示している。箱根強羅公園には、二又の槍「ロンギヌスの槍」を模ったモニュメント(高さ約3・6㍍)を設置した。

小田急箱根HDは藤田観光との協力で、温泉テーマパーク「箱根小涌園ユネッサン」に大災害で変化した後の赤い海を「セカンドインパクトの湯」として再現。施設内のレストランやフードコートでも、作品をイメージしたメニューに加え、劇中で登場人物が注文する「ニンニクラーメン チャーシュー抜き」(869円)を提供している。

イベントでは、箱根登山鉄道バスが5機のエヴァをイメージしたラッピングバスを運行。小田原駅―箱根町港を結ぶ「箱根町線(H路線)」では登場人物「葛城ミサト」の声優・三石琴乃さんによる車内放送を行う。小田急箱根バスでも新宿―箱根間と御殿場市内―箱根間でそれぞれ専用のラッピングバスを走らせる。

箱根観光船が運航する箱根海賊船では、主題歌「残酷な天使のテーゼ」を歌う高橋洋子さんの特別ライブショー(3月28日午後5時、5月23日夕方開演)などの特別企画も計画。劇中の湖上で決行される「ヤシマ作戦」をモチーフとし、背後に花火を打ち上げる特別演出が行われる。

【相模経済新聞1月20日号】

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