アルファリンク相模原の1棟目が完成/地域住民が利用可能な施設も設置


物流不動産の開発・管理・運用を手掛ける日本GLPは9月24日、相模原市中央区田名のキャタピラージャパン相模原事業所跡地で建設を進めていた複合型物流施設の1棟目「GLP ALPHALINK(アルファリンク)相模原 1」(延べ床約33万1343平方㍍)を完成した。地上6階建て(一部)共用棟のリングと合わせてプロジェクト最大の延床面積を有しており、地元の総合物流業ギオン(中央区南橋本)のほか、佐川急便、西濃運輸など10社以上の入居が決まっている。

GLP相模原 アルファリンク相模原は総延べ床面積約67万3437平方㍍、総敷地面積約29万4455平方㍍と関東最大級の規模を有する大規模多機能型施設「アルファリンク」プロジェクトとして2020年2月に工事に着手し、22年11月にプロジェクト全体の4棟が完成する予定。

 

祇園会長 施設の1階部分には、予め冷凍冷蔵設備を備えた倉庫スペースを整備している。ギオンが入居し、冷凍・冷蔵・常温の3温度帯に対応した拠点として利用する。祇園義久会長は「近隣5カ所の物流施設を有効利用して物流網を構築している。相模原1では冷凍・冷蔵・常温の3温度帯の商品を扱う施設を半年から1年先にフル稼働させる」と話していた。

施設内の5階に設けたターミナル区画には、佐川急便および西濃運輸の入居が決定している。佐川急便は従来のカットオフタイムよりも遅い時間で集荷時間を設定できるため、EC(電子商取引)企業などにとって利便性、出荷・集荷の効率が向上。西濃運輸でもターミナル区画を利用する顧客には、従来よりも遅い時間での出荷や、早い時間帯での配達に対応できるメリットがあり、入居企業からの出荷も期待できるとしている。

アルファリンク相模原は 「オープンハブ(物流をもっとオープンに)」のコンセプトのもと、施設で働く人々に加え地域の人々にも利用できるように、敷地中央に、環状にデザインされた直径約90㍍の共用棟「リング(環)」を開設。カフェ、コンビニ、レストラン、貸し会議室、託児所などが入り、隣に多目的コートも設置する。

歩廊とペデストリアンデッキで全棟をつなぐことで、歩車を分離し、快適で安全に移動できるよう配慮した。「つなぐ」ことで人々の交流やビジネスの創出を促し、地域にとって開かれた物流施設を目指すという。

GLP社長 働く人が健康で快適に仕事ができるよう健康な食事の提供、メンタルサポートをする環境の整備、交流をするイベントの実施などを通してサポートも行う。働く人が身体的、精神的、社会的に良好である環境様々な機能を持つ建物であることが評価され、日本の物流施設で初めてWELLの予備認証を取得した。

コンセプトの2つ目、「インテグレイテッド」では、サプライチェーン(商品企画から配送)のすべてを1カ所に統合することを実現。ターミナル機能を設け、複数企業のオペレーション連携を促進し、効率化を図る。工場用途や冷凍冷蔵に対応した区画を整備することにより、入居企業のサプライチェーンの統合を支援する。

3つ目のコンセプト、「シェアード・ソリューション(ビジネスの進化をサポート)」では、グループ会社であるモノフルと協業して施設専用アプリを開発。顔認証システムによる入館、共用施設の予約、レストランでの注文・決済、専用シャトルバス運行状況の可視化、災害情報の配信機能を備え、施設のIoT化の実現や就業者の更なる安心・安全・快適な環境を提供する。

立地する相模原市は政令指定都市で人口72万人を超え、日本GLPは「若年層の人口が増加傾向にあり、雇用の確保が容易」と期待。リニア中央新幹線の開通や小田急多摩線の延伸などで、「今後の発展や人口の流入が期待できる」とみている。

【2021年10月1日号】

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