羊料理専門「火辻」、半年で坪月商60万円超に/橋本駅北口前の激セマ店好調


ジンギスカン 橋本駅周辺で飲食店4店舗を展開する「つきよ」が相模原市緑区橋本3丁目にオープンしたジンギスカンなどの羊料理専門店「火辻(ひつじ)」は、2021年10月の開店からわずか半年で、1坪あたりの月商が60万円を超える売り上げを誇る繁盛店となっている。同社によると専門店は橋本地区で唯一で、滝柳遊社長は「ジンギスカン専門店がなく、ニーズがあると考えた。地域のパイオニアとしてやっていく自信があった」と語る。

店舗が入居したのは橋本駅北口のすぐ目の前、不動産会社や美容室、飲食店などが入る「橋本センタービル」だ。かつては飲食店だったが10年間ほど空き店舗で、賃貸に消極的だったオーナーを説得することで昨年春に契約に漕ぎつけた。水道、ガス、電気は隣接する美容室と系統が共同だったものを、同社が数百万円の工事費などを負担して分離。エアコンや排煙装置も工場などで使われる強力なものを約200万円かけて導入した。

業態を決める社内会議では、店舗規模から「立ち飲み屋」という案も出た。最終的に羊肉料理の専門店に決まったのは、企業理念にも「常に変化を求め考動(こうどう)」「地域の財産を発掘」などと掲げるように、「すでにある店を始めてもおもしろくない」という思いからだった。

わずか4坪(約13平方㍍)という店内には、調理場と客席を仕切るカウンターに8席のみ。「人気テーマパークのような非日常的な空間を楽しんでほしい」(店長=滝柳心さん)という石垣を積んだような内壁は、内装工事業の飯塚塗研(緑区大島)が手掛けたもの。

料理の価格帯は「大学生が頑張ればデートに使える価格設定にしたかった」(店長・滝柳心さん)とし、客単価が5千~6千円前後となるように設定した。実際は40、50代の夫婦や女子会が7割程度で、2500円のコース(予約制)に料理やご飯ものなどを追加する場合が多い。同社は「親しい間柄の人と穏やかな雰囲気の店で食事をする傾向が強いのでは」とみている。

料理に使用する羊肉は、肥育期間が生後3カ月~半年程度で「癖が少なく柔らかい」というニュージーランド産の「ラム(子羊)」など。鮮度が良いから提供できるというレバーやホルモンなどのほか、ラムタン(舌)やシビレ(胸腺)といった希少部位も出す。ジンギスカンはしょうゆをベースにタマネギやリンゴを入れ、熱を加えずに仕上げた自家製のタレなどで食べる。

アルコール類は久保田酒造(同区根小屋)の「相模灘」とその梅酒、八咲生農園(同市南区相模大野4)のワインなどをそろえている。食材や飲み物は地元産のものを使った地元の誇りとなるメニューを作ることが同社の目標で、心さんは「将来的には農園を借りて無農薬野菜を自家栽培したい」とも語る。

店を仕切るのは、生まれも育ちも橋本で、「地元が大好き」と笑顔で話す青山栞さん。取材と撮影に応じた青山さんは、ジンギスカンの焼き方を教えてくれながら、「カウンター越しでお客さんとの距離が近く、会話が弾むとアットホームで楽しい」と話していた。

営業時間は、平日午後5時~12時(土日祝日は午後3時から営業)。

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