相模原市、八王子市、町田市の隣接する3市が神奈川・東京の都県境を超えて連携し、持続可能な圏域を目指そうと、このほど3市長による会合を始めて開いた。主に①公共施設の共同管理・再編②産官学連携対策の構築③3市推進体制の構築―をテーマに議論。市境を超えた生活圏・経済圏を形成しており、公共施設や行政サービスの相互利用などで魅力的な街づくりを進めることで、都心部への人口流出を防ぎたい考え。【2023年6月12日掲載、芹澤 康成】
3市は市境を越えて住民の生活圏が広がっており、これまでも図書館やスポーツ施設など公共施設の相互利用や、災害時の相互応援などの分野で協力。特に、2022年度から3市の広域連携行政担当職員で「絹の道都市間連携研究会」を設置し、共通する政策課題などについて調査・研究を実施してきた。
将来推計人口によると、3市合計で173万人余りの人口は20年後に約23万人減少し、65歳以上の高齢者の割合は27%から38%に上昇するとされている。今後、さまざまな資源的制約が生じるとみられ、行政体制を持続しながら多様化・複雑化するニーズや地域課題に適切に対応する必要があるとする。
相模原市の本村賢太郎市長は「3市の連携をさらに深め、この地域に人を呼び込む戦略を打ち出したい」と意気込む。また、八王子市の石森孝志市長は「共通の行政課題を解決するには、それぞれの地域特性、資源を有効に活用することが重要」、町田市の石阪丈一市長は「特性や立ち位置が違うからこそ連携で生かせる強みがあるはず」とそれぞれ話した。
□若者の定住へ連携
3市はいずれも大学などが多く進学に伴う10代の転入者が多い一方、卒業に伴う20代の転出も多い。各市の主要駅がJR横浜線で行き来がしやすいことから、「現在、圏域内に住む学生が3市内のいずれかの企業に就職すれば、引き続き現在の居住地に居住する可能性が高いのでは」とする。
転出理由について「働きたい(働く予定の)職場が遠いから」とする学生がもっとも多く、教育機関や企業と連携して地域産業の魅力や認知度の向上、企業と学生のマッチングを進める方針。受け皿となる産業の特性も3市で類似性があるため、共通の施策でもスケールメリットが働くことでより大きな効果を期待するという。
□公共施設の共同利用
3市間では交通アクセスが良好で、公共施設などの相互利用が多い。広域利用が可能な大規模施設が圏域内に複数整備されているため、「施設利用の広域連携は効果的」とする。他市住民との交流や相互理解、文化共有なども期待している。
共同利用には課題もある。自治体や施設ごとに利用者の状況や法的な制限が異なり、同じ施設分類であっても役割が異なることもある。共同で設置・運営する場合であっても、必要な機能が維持されるよう留意する必要があると指摘する。